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第102回 データサービスマネージャー:モダンなワークロードを支える隠れた宝石 (野田貴子) 2025年1月

こんにちはー。野田貴子です。

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多くの組織がAI技術の導入を目指す中、懸念事項が主に3つあります。知的財産へのリスクを最小限に抑えること、機密データが外部に共有されないようにすること、そしてAIモデルへのアクセスを完全に管理することです。これらの懸念事項により、プライベートAIの必要性が高まっています。VMware Private AIは、AIのビジネス上のメリットを得つつ、組織のプライバシーとコンプライアンス要件を両立させるために設計されたアーキテクチャです。VMware Private AIには柔軟性とプライバシーがありますが、モダンなワークロードと同様に、スケーラビリティ、効率的な管理、トラブルシューティング機能、容量計画が可能なデータサービスも必要です。

データスプロールと管理の悪夢

業界レポートや顧客のフィードバックによると、オープンソースデータベースエンジンへのシフトが明確なトレンドとなっています。顧客は「データスプロール(データの拡大・乱立)」や、「YAMN(Yet Another Management Nightmare = さらに悪化した管理の悪夢)」に直面しており、データベース管理者(DBA)のリソースが不足しているため、開発者が必要とするモダンなデータベースのセットアップや既存のデータベースのパフォーマンス調整に十分対応できていません。OracleやSQL Serverといった従来のデータベースに関するスキルは広く持たれていますが、ライセンスコストを抑えるために多くの企業が好むPostgreSQLやMySQLといったクラウドネイティブなデータベースに関する専門知識は不足しています。さらに、IT部門は増加し続けるデータベースと、それを支えるvSphereインフラストラクチャのライフサイクル管理に苦慮しています。多くの企業がカスタムオートメーションを構築していますが、これらは基本的でエラーが発生しやすく、スケールが難しいことが多いです。また、これら自家製ツールの内部構造は、限られた数のスタッフしか把握していないため、そのスタッフが退職すると、サービスが危険にさらされるリスクがあります。

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データサービスマネージャー

データサービスマネージャー(DSM)は、VMware Cloud Foundation(VCF)の一部であり、vSphere環境におけるデータベースとデータサービス管理を一新します。データサービスマネージャーはPostgreSQLやMySQLのオンデマンドプロビジョニングや自動管理を可能にする包括的な「Data as a Service」ツールを提供します。自家製のツールをデータサービスマネージャーに移行することで、開発者には必要なセルフサービス機能が提供され、IT部門は強力な自動化と監視機能を活用できます。

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VMwareデータサービスマネージャーのメリット
  • モダンDBaaS統合:データサービスマネージャーはVCFプラットフォームに統合されており、プライベートクラウド向けのモダンなセルフマネージドDBaaSを提供します。
  • 制御されたセルフサービス:管理者はvCenter/vSphere Client内のポリシー管理を通じて、制御を維持しつつオンデマンドのデータサービスプロビジョニングができるようになります。
  • 反復作業の自動化:データチームは、バックアップやアップグレードなどの定型作業を自動化し、ビジネスにより大きな価値を提供するための時間を確保できます。これらの作業はサービス展開時に設定され、自動で実行されます。
  • 事前選定されたデータサービス:アプリケーションチームは、あらかじめ選定されたデータサービスやバージョンを選択し、必要なサービスのライフサイクルを自動化できます。
  • ライフサイクル管理の簡素化:データサービスマネージャーは、データベースの導入から廃止までのライフサイクル管理を簡素化します。自動アップデートやアップグレードにより、データベースが常に最新かつ安全なバージョンで稼働し、脆弱性リスクを低減しつつ、全体のシステム安定性が向上します。
  • セキュリティとコンプライアンスの強化:データサービスマネージャーは高度なセキュリティ機能(暗号化、アクセス制御、監査ログなど)を備えており、機密データを保護します。セキュリティポリシーの自動適用や定期的な監査により、業界規制への準拠が簡単になります。
モダンなデータベース管理者のためのメリット
  • 中央管理:データサービスマネージャーは複数のデータベースインスタンスを一元的に管理するインターフェースを提供し、データベース管理者が大規模なデータベース環境を簡単に監視・維持できるようにします。中央管理により、運用の合理化と効率化が進みます。
  • ポリシーベースの管理:データベース管理者はデータベースの設定、セキュリティ、コンプライアンスに関するポリシーを定義し、適用することができます。これにより、すべてのデータベースインスタンスで一貫性が保たれ、設定ミスやコンプライアンス違反のリスクが軽減されます。
  • 高度な監視と分析:データサービスマネージャーには、データベースのパフォーマンス、健全性、使用状況のリアルタイム監視ツールが搭載されています。この分析により、データベース管理者は問題を迅速に発見して解決し、パフォーマンスを最適化し、将来の容量ニーズを計画することができます。
  • セキュリティとコンプライアンスの強化:データサービスマネージャーは、暗号化、アクセス制御、監査ログといった強力なセキュリティ機能を備えており、データベース管理者がデータベースの安全性と規制遵守を確保できるようにします。自動コンプライアンスチェックやレポート機能により、セキュリティポリシーの適用がさらに簡単になります。
  • スケーラビリティ:データサービスマネージャーのスケーラブルなアーキテクチャにより、データベース環境の拡張が容易になります。データベース管理者は需要に応じてデータベースサービスを柔軟にスケールアップまたはダウンでき、ビジネスニーズに即したインフラ管理が可能です。
  • 運用の複雑さの低減:データサービスマネージャーを活用してデータベース管理を一元化することで、複数のデータベースシステムを管理する際の複雑さが軽減され、運用効率が向上します。これにより、データベース管理者はよりシンプルな管理体験を享受できます。
  • コラボレーションの強化:データサービスマネージャーが提供するセルフサービス機能や自動化により、開発チームと運用チームのコラボレーションが促進されます。データベース管理者は標準化されたプロセスやワークフローを確立することで、よりスムーズで効率的な協力関係を築けます。
VMware Private AIにおけるデータサービスマネージャーの役割

データサービスマネージャー(DSM)は、AIデプロイに必要なデータサービスの安全で効率的かつスケーラブルな管理を支える重要な機能を提供します。たとえば、PostgreSQLにpgvector拡張機能を追加することで、Private AI基盤の一翼を担っています。

LLM(大規模言語モデル)の課題:ブラックボックスの問題

LLMは強力ですが、いくつかの大きな課題があります。

  1. 正確性の問題:LLMは時に「幻覚(ハルシネーション)」を起こし、不正確な情報や無意味な出力を生成することがあります。
  2. タイムリーさの問題:LLMは最後に学習したデータまでしか反映しないため、最新情報を把握できないことがあります。
  3. 追跡可能性の欠如:LLMはその回答の出典や根拠を明示できないことが多く、情報の信頼性に疑問が生じる場合があります。
検索拡張生成(RAG):ベクターデータベースでAIを強化する方法

この課題を解決するために、検索拡張生成(Retrieval-Augmented Generation = RAG)は大きな変革をもたらす技術となるでしょう。RAGは、LLM(大規模言語モデル)の知識と、ベクターデータベースに保存された企業独自のデータを組み合わせます。このアプローチにより、AIはこれまでの広範なトレーニングデータだけでなく、企業の最新で信頼性のある特定情報も活用できるようになります。

データサービスマネージャーの役割

これらの技術的進化の中で、データサービスマネージャーはプライベートAIの基盤における「隠れた宝石」として浮上します。データサービスマネージャーは、IT環境内でのデータサービスの管理と最適化において極めて重要な役割を担っており、データのセキュリティ、コンプライアンス、効率的な運用を保証することが、社内データセンターでのサービス提供に欠かせないものです。

データサービスマネージャーの主な責任
  1. データセキュリティ:機密データを不正アクセスや漏洩から保護するため、強力なセキュリティ対策を実施します。
  2. コンプライアンス管理:データ処理が関連する規制や基準に確実に準拠していることを保証します。
  3. データ統合:独自データや外部データを含むさまざまなデータソースの統合をシームレスにサポートします。
  4. パフォーマンス最適化 :AI運用がスケーラブルで効率的に行われるよう、データサービスのパフォーマンスを継続的に最適化します。
  5. トラブルシューティングとサポート :データサービスの一貫した健全性とパフォーマンスを維持するため、継続的なサポートとトラブルシューティングを提供します。
結論

AIが技術の未来を形作り続ける中、プライベートで安全なコンプライアンスに準拠したAI環境に対する需要は今後ますます高まっていくでしょう。VMware Private AIは、VMware Cloud Foundationを基盤とし、これらのニーズに対応する堅牢なソリューションを提供します。データサービスマネージャーは、AIインフラ内でデータサービスを管理・最適化する上で不可欠な役割を果たし、データの安全性、コンプライアンス、効率的な管理を実現します。データサービスマネージャーに移行することで、組織はデータ管理プロセスを合理化し、自家製ソリューションに伴うリスクを軽減し、AI投資のポテンシャルを最大限に引き出すことができるでしょう。

※本コラムはVMware社が公式に発表しているものでなく、翻訳者が独自に意訳しているものです。
原文は以下をご覧ください。

https://blogs.vmware.com/blog/2024/09/data-services-manager-the-hidden-gem-powering-modern-workloads.html

 


 

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