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真夏の休日、待ち合わせて野外ライブに行きました。
日付は、二〇一九年八月一八日、日曜日。
場所は、日比谷野外大音楽堂。
夕刻近くになって日差しが傾いてきても蒸し暑さは堪えます。
開場時間を待つ長い行列で待っていると汗が滴り落ちてきました。
出演するのは「ナンバーガール」"NUMBER GIRL" というバンドです。
実は、あまり聴いたことがなくよく知らないバンドでした。
『相棒』:
この知らないバンドのライブ参戦を企画して声を掛けてきたのは、相棒の直人です。
直人が「抽選に当たったのでライブに行きましょう。」と誘ってきたのは、まだ寒かった春先頃だったと思います。
「ナンバーガール」"NUMBER GIRL" というバンドの単独ライブだそうですが、あまり聴いたことがありません。
直人は学生時代にオンタイムで聴いていた世代の様子で思い入れのあるバンドみたいです。
直人は音楽好きで知らないバンドや楽曲を色々教えてくれます。
近しい人から影響されて視野が広がるのが嬉しいのです。
ライブに行くのも久々でしたし「イイよ。」と返事しておきました。
『野音』:
汗が滴り落ちてくる真夏に野外ライブは、少し酷かなとも思いましたが、場所は「野音」です。
一度はそこに行って「生音」を聴いてみたかった場所です。
日比谷野外大音楽堂は日比谷公園の中にあります。
日比谷公園といえば、「松本楼」のチャリティ「10円カレー」が有名ですが、
「日比谷野外大音楽堂」は野外ライブの聖地「野音」として長年に亘り活躍しています。
「RCサクセション」"RC SUCCESSION" 筆頭に「ラフィン・ノーズ」"LAUGHIN' NOSE" 、「エーアールビー」"ARB"、「モッズ」"THE MODS"、「ストリート・スライダース」"THE STREET SLIDERS"、「ザ・ブルーハーツ」"THE BLUE HEARTS" など錚々たるロックバンドのライブだけでなく「小沢健二」や「キャンディーズ」に至るまで、ジャンルを問わず数々の伝説のステージが繰り広げられた舞台となりました。
単独ライブだけではなくて野外という開放感からフェスも催されていて、一九八五年にはジャパメタの第二世代の台頭を予感させる「JAPAN HEAVY METAL FESTIVAL」が開催。
また「SHOW-YA」が女性だけの音楽フェス「NAONのYAON」を一九八七年から現在にまで継続しています。
「日比谷の野音」も「松本楼」に負けず劣らず存在感をアピールしています。
「野音」は、憧れの場所であるのです。
『缶ビール』:
話を聴いたのが春先頃だったので、だいぶ先の話だなと思っていました。
三月がやっと終わって一年頑張ったと思うのも束の間、
四月になってからは、新入社員研修の艱難辛苦を耐え凌ぎ、
分単位で息を抜けない心を亡くしてしまう時間を、一日一日を、何とか凌ぐ毎日。
そうして毎日を駆け抜けていくと、すぐに夏がやってきました。
約束していたライブの日。
真夏の日差しを浴びる野外会場です。
日比谷公園辺りで待ち合わせていましたが、直人から物販に行くので先に行きます、とメッセージが届きました。
先遣隊の調査報告に由れば、どうやら開場前から始まっていた物販ですら長蛇の列だそうです。
人気のバンドなんだなぁと思いながら、ライブ参戦用にお気に入りの「モーターヘッド」"Motörhead" のTシャツに着替えて電車を乗り継いで日比谷公園へと向かいました。
日比谷公園に到着して当て所なく売店付近を歩いていたら、物販タスクを終えたらしい相棒と遭遇しました。
バンドのTシャツを物販で手に入れたそうです。自分だけでなく俺の分も調達してくれていました。
少しだけ期待はしていましたが、今回は珍しく期待を裏切らず気が利いていました。
気分良く相棒は売店で買ったビールをグビグビと喉を湿らしながら「黒で良かったですか?」と聴いてきました。「もちろん」と応えて早速、ベンチに座ってその場でお揃いのバンドTシャツに着替えました。
ライブ参戦前に正装にお着替えです。
開場までの時間、ビール片手に松本楼がすぐ横に見える木陰に隠れて、物販Tシャツのデザインや色のバリエーションについて二人で会話をしていると、同じライブに参戦する方が話しかけてきました。
私が着ているのが、その話に出てきたTシャツですよと教えてくれたのです。
彼女の手にもしっかりと缶ビールが握られていました。
あぁ、このバンドは「ビール」がキーワードなのだろうと薄々気がつきました。
そうしているうちに開場の時間が迫ってきました。
直人は飲み終わったビールの缶をゴミ箱に捨てると、もう一本買ってきますと売店に向かって走っていきました。
『立ち見』:
松本楼から日比谷公園の端っこにある日比谷野外大音楽堂に向かって歩いている際に、
指定席でしかも数字が小さいのでかなり前列の席が取れましたよ、と笑みを浮かべる相棒でしたが、
チケットをよく見るとどうやら立ち見席の様子です。
流石です。これがいつもの相棒なのです。
最初はすぐ入場できるのかなと思っていた前方に並んでいた列ではないことにチケットを見て気がついたので、後方に控えていた長蛇の列に並び替えて待つことにしました。
行列に並んでいるのは、直人と同世代が中心みたいですがシニア層と思しき輩や若い女性も結構多いです。
斜めに傾いた日差しとアスファルトからの輻射熱も相まって待っているだけで汗が滴り落ちてきたので、
「ディスクユニオン」"disk union" で貰った「モーターヘッド」"Motörhead" の手ぬぐいを首に巻きました。
幅広く人気あるのだなと思いながらも、それよりライブの時間まで体力持つのか心配になってきました。
開場時間までかなり待たされて挙句、やっと立ち見の番になると列に並んでいた観客は我先にと中に飛び込んでいきました。
入ってみると擂り鉢状の会場で立ち見席は、席の外側で鉄柵の外側に何列にも人が重なって見る位置でした。
出遅れた二人は、柵から二列目の端になってしまいました。
目の前には背がデカくて頭髪が多くて落ち着きのない若者がいます。
柵に登ったり柵から顔を出したりと忙しないやつです。
そいつがじっとしていればですが、それでもどうやらステージは辛うじて見える程度です。
これではメンバーはよく見えないなというのはありますし、それよりちゃんと聴こえるのかなという心配はありましたが、久々のライブ開始前のワクワク感は残っていました。
『オノマトペ』:
相棒の直人は音楽好きで意気投合しましたが、世代が違うこともあって知らないバンドや楽曲を色々教えてくれます。
まるでオノマトペにしか聞こえないバンドなども教えてくれました。
「トーフビーツ」"tofubeats" 、「エビスビーツ」"EVISBEATS" 、「森は生きている」といった八百屋か植物学者もしくは粘菌研究者なのかといった名前です(以前のコラム『第48回 ジルスコット』、『第49回 シャンティシャンティ』あたりをご覧ください)。
ジャンルを問わず何でも聴くのですが、今まであまり触手が動かなかったヒップホップやラップも教えてもらいました。
「不可思議/wonderboy」(ふかしぎわんだーぼーい)や「神門」(ごうど)は、ヒップホップやラップとして刷り込まれていたイメージを払拭してくれるアーティストでとても気に入りました。
「ナンバーガール」"NUMBER GIRL" というバンド名は、「ザ・ビートルズ」"The Beatles" が由来の「ナンバーファイブ」と「ニール・ヤング」"Neil Young" 由来の「カウガール」という二つのバンド名が合体した「RCサクセション」"RC SUCCESSION" テイストの名前です。
彼らは福岡で結成された「めんたいロック」バンドで二〇〇〇年前後に活躍していたバンドだそうですが、だいぶ前に解散していたそうです。
今回誘ってもらって初めて参戦した「ナンバーガール」"NUMBER GIRL" ライブは、本当は二〇一九年八月一五日に北海道小樽市で開催予定だった「ライジング・サン・ロックフェスティバル」"RISING SUN ROCK FESTIVAL" が台風十号で中止となったためにバンドが実に十七年ぶりに再結成した記念すべき皮切りのライブと「偶然に」なりました。
いきなり参戦する「ナンバーガール」"NUMBER GIRL" は知らないバンドですが、直人が押すバンドですし、どうやらオルタナティヴ・ロックでハードな楽曲らしくライブでどんな音を聴かせてくれるのか期待されます。
ライブの日程が近づいてくると直人は予習用に「感電の記憶」というライブ盤を貸してくれましたが、あまり聴いていませんでした。忙しさにかまけて、あまり聴く気にならなかったのです。
本当は「ベビーメタル」"BABYMETAL" をヘビロテで聴いていたからです。
『感電の記憶』:
ライブ経過の記憶と感想の芋(乾燥芋)なのですが、兎にも角にもベースの音がすごいです。
ライブが始まってベースが会場に鳴り響くと周りの木々に止まっていた鳥たちが一斉に飛び立ったのは壮観でした。
野音という会場の特性なのかもしれませんが、そのベース音が股間に直接響きます。
神経性の病気になったみたいに、一番敏感な下半身の部位にビンビン響いてきます。
低音がバイブとなる映画館の特別音響シートというよりも、電極を股間に直接貼り付けているかという程にビリビリと感じるのです。
まさに感電しているかの様相です。
外野で浮かれた観客が踊りまくっていました。
愛着のあるバンドの再結成ということでファンは嬉しくなったのでしょう。
その中にはただ便乗してお祭り騒ぎをしたいだけという風態の金髪不良外国人もいました。
あれはいただけません。
自分を返り見れば、やはり予想通りですが体力が持ちませんでした。
長時間のライブで立ちっぱなしで音圧を浴び続ける体力は残っていませんでした。
二時間程、痺れる程の感電状態で堪え凌ぎながら立って聴いている気力が無かったのです。
思い入れが無いからなのですが、向井秀徳というボーカルの声も正直あまり好きでないような気がします。
何より楽曲を知らないというのが最大の致命傷でありました。
分かりきっていたのですが、やはり予習が大事でした。
残った体力で柵に群れている人達から脱出し、会場の後方に身を引いて観客の背中を見ながら終わるのを待っていました。
ふと柵の方を見ますと、思い思いに身を委ねる観客の中にリズムに合わせて子供の様に無邪気に縦ノリで元気に飛び跳ねている直人がいました。
春に蛹のごとく自分の殻に籠っていたのが、
夏に脱皮して羽化した紋白蝶が飛んでいる。
夏空を謳歌している、そんな風に見えます。
普段見ることのない相棒の姿です。
一緒に来て良かったなと思いました。
次回をお楽しみに。
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