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第15回 クラウド環境次の一手 (志茂吉建) 2013年3月

 前回前々回と少し仮想化技術とは少し違うお話をさせて頂きました。しかし、システムを構築、運用していく上で資格をとることは重要な項目の一つだと思います。みなさんも、何かトライしてみてはいかがでしょうか。

 さて、今回は仮想化技術のお話に戻したいと思いますが、ハイパーバイザーなどの基礎技術ではなくクラウドについてお話したいと思います。一言にクラウドといっても幅が広いので定義が難しいところはありますが、エンジニアの観点で少し見ていきます。クラウドは大きく分けてプライベート・クラウドとパブリック・クラウドにわかれます。パブリック・クラウドではAmazon AWSやMicrosoft Azureなどが有名です。外部のサービス提供者がインフラリソースを提供し、利用者はインターネットなどのネットワーク越しにインフラリソースを利用することになります。一方、プライベート・クラウドは内部のサービス提要者、例えば、情報システム部門などがインフラリソースを提供し、利用者が内部ネットワークなどを通じてインフラリソースを利用します。

 少し前までのプライベート・クラウドはどちらかと言うとハイパーバイザーから管理のリソース(CPU、メモリー、ストレージ、ネットワーク)を提供するものでした。以前取り上げた、VMware vSphereなどは専用のvSphere Clientから仮想マシンを利用することができましたが、AWSのようにWEBブラウザやAPIを通じてのオペレーションは限定的でした。しかし、最近ではAWSなどのように、WEBブラウザやAPIから利用できるクラウドインフラが提供されるようになりました。OpenStackやCloudStackがそれにあたります。いずれも、オープンソースのクラウド環境で、ハイパーバイザーの管理だけではなく、ストレージ、ネットワーク(ルータ、FW、スイッチ、ロードバランサ)の管理を行うことができます。また、対応しているハイパーバイザーはVMwareだけではなく、KVM、Xenなどを利用することが可能です。

OpenStackとは

 OpenStackはオープンソースで提供されているクラウドの基盤ソフトウェアです。ライセンスは、Apache License 2.0となります。NASA(米国航空宇宙局)と米国のホスティング事業者であるRackspace Hosting社が、2010年に立ち上げたプロジェクトが始まりです。OpenStackはオープンソースとして提供されており、急速にコミュニティーが拡大して行きました。2012年9月には非営利団体「OpenStack Foundation」が設立されました。2013年3月現在でも開発は盛んに行われています。日本では、つい先日、2013/3/12にOpenStack Day Tokyo 2013が開催され、多くの企業が出店しており、注目が高まってきています。また、2013/3/4に米IBMが「全クラウドサービス、ソフトウェア」をOpenStackベースにすると発表しています。OpenStackはクラウド業界でのLinux同じ様に業界標準として成長していくことが期待されます。

CloudStackとは

 CloudStackもオープンソースで提供されるクラウドの基盤ソフトウェアです。
 CloudStack 3.01移行はApache License 2.0で提供されています。もともとCloud.com社で作成されていたソフトウェアですが、2011年7月にCtrix社が買収、その後、2012年 4月にCtrixからオープンソースとしてApache Software Foundationに寄贈されて今日に至ります。日本国内では、IDCフロンティア、SCSK、NTTコミュニケーションズ、KDDIなどが採用し IaaS基盤として提供しています。また、最近、翔泳社から「CloudStack徹底入門」という書籍も発売され注目されています。

2つのプロダクトの違い

 提供される機能やオープンソースといった点で2つのプロダクトは類似しています。名前も「Open」か「Cloud」かの違いだけに感じます。しかし、大きな違いが一つあります。「OpenStack」は完全にオープンソースになっており、特定のベンダーが大きく関与しているわけではありません。一方、「CloudStack」はCtrix社から「Enterprise版」が発売されています。データベースで言うと、PostgreSQLとMySQLの関係に似ているのではないでしょうか。PostgreSQLは特定のベンダーがありませんが、MySQLはOracleが商用版も提供しています。どちらのモデルが優れているかというのではなく、PostgreSQLもMySQLもオープンソースでエンジニアの皆さんには馴染みになっていると思います。

インフラ構築

 いずれもオープンソースソフトウェアでWebベースの管理GUIを搭載していますので、オペレーション自体は簡単に行うことができます。しかし、OpenStackやCloudStackのインフラ構築となると複数のコンポーネントから構成されるシステムを構築する必要がありますので一筋縄ではいかないと思います。しかし、一つ一つのコンポーネントをしっかりと理解すれば構築できるようになると思いますので、次回からは数回にわけてそれぞれの技術詳細を確認して行きたいと思います。

 


 

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