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第13回 OpenStackシドニーサミットのダイジェスト~50のチェックポイント~ (野田貴子) 2017年12月

こんにちはー。野田貴子です。今回は海外で公開されているOpenStack関係のコラムを意訳します。英語が苦手な方にとっては、日本語で要約版があると助かるのではないかと考え、日本語訳したものをご紹介いたします。
興味がある方はご参考ください。海外動向を理解する上での参考になれば幸いです。

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この記事ではシドニーサミットのダイジェストをお伝えします。

・まずはOpenStack Foundationによる発表です。

1.
OpenStackのコミュニティリーダーらによって、現実問題を解決するためのオープンソース技術の統合と運用に関する新しい計画が発表されました。これは現在オープンソースで最も難しいとされている課題を解決します。 OpenStack Foundationとコミュニティは、OpenStackと関連するオープンソース技術の統合に取り組む4つの戦略に多大な資金と技術リソースを投資しています。その戦略とは、プロジェクト間のユースケースの文書化、他のオープンソースプロジェクトに対するアップストリーム・コントリビューションといったコミュニティ間の共同作業、 OpenStack Foundationの新しいプロジェクトの育成、そして、プロジェクト間のエンドツーエンドテストの調整です。

2.
OpenStackパブリッククラウドプロバイダ同士が協力して、オープンソースのインフラストラクチャの自由度、性能、相互運用性をユーザーに体験させる、Public Cloud Passport Program というプログラムが基調講演開催中の月曜日に公開されました。

3.
OpenLabというコミュニティ主導のプログラムでは、OpenStackの最も一般的なソフトウェア開発キット(SDK)のサポートをテストし改善します。Kubernetes、Terraform、Cloud Foundryなどのプラットフォームが対象になっています。このプログラムの目標は、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境用のツールとアプリケーションのユーザビリティ、信頼性、回復力を向上させることです。

4.
日曜日のOpenStack Board of Directors会議にて、TencentがFoundation Gold Memberとして承認され、最後のOpenStack Foundation PlatinumとGoldメンバーの椅子を確保しました。深セン市に拠点を置くTencentはアジア最大のハイテク企業の1つであり、時価総額で世界のトップ5のインターネット企業に入ります。

5.
月曜日の朝発表されたOpenStack User Surveyレポートでは、金融、政府、研究、小売、通信などの主流産業におけるOpenStackの採用が拡大したことなど、2017年の導入率が2016年と比較して95%向上したことが紹介されました。このレポートの結果は、Cloudify、Heavy Reading、SDxCentral、SUSEの最近の研究によっても裏付けられました

・ここからは主なコミュニティ活動、技術決定、ロードマップの議論についてのダイジェストです。

6.
TencentのTStackチームは、月曜日の基調講演でSuperuser Awardsを受賞しました。印象的なユースケースとコミュニティへの貢献によって、彼らは栄誉を持って帰国する8番目の組織となりました。

7.
OpenStack Foundationはコミュニティと協力して、新しいコントリビューターが研修しやすくするために新しいOpenStackコミュニティポータルの最初のバージョンをスタートしました。特徴的な機能としては、新しいアップストリームコントリビューター用の研修ドキュメント、オペレータのためのサンプル構成、エンドユーザーのためのAPIガイド、Upstream Instituteがあります。これらは多くのOpenStackイベントで実行される対面トレーニングと同様に、新しいコントリビューターに対してオープンソースのコラボレーションの背後にあるツールや哲学について伝授します。

8.
シドニーサミットでは、China UnionPayがOpenStack Community Financial Services Teamの初会合を開きました。このチームは、金融業界におけるOpenStack採用のギャップを特定しそれを埋めるために立ち上げられました。チームに参加する方法はこちらの詳細をご覧ください。

9.
このForumではOpenStackコミュニティ全体が集まり、次のリリースの要件、過去のバージョンへのフィードバック、そして長期的な戦略について話をしました。Sydney ForumではRockyプロジェクト開発サイクルの計画フェーズが始まりました。サミットの3日間で、Passport Programや新しい「オープンインフラ」戦略のような、長期的なサポートリリースやプログラムのアップストリームといった問題が掘り下げられました。こちらのEtherpadですべてを見ることができます。

10.
OpenStack Scientific Special Interest Group(SIG)は、HPCの第2版『クラウドとHPCの交差点:科学研究のためのOpenStack』を発表しました。特定の科学や研究の実施で現在一般的に使用されているOpenStackプロジェクトの現在の状況を反映するように各セッションが修正されています。新しい本やSIGに参加する方法についての詳細はこちらでご覧いただけます。

11.
SDxCentralの最近のレポートでは、回答者の87%がOpenStackをエッジインフラの管理に使用すると回答しています。Sydney Summitのスケジュールには、AT&T、Cisco、Ericsson、Huawei、Verizon、Vodafoneなどの新興のユースケースを中心にいくつかのセッションがあり、この重要な関心事が反映されました。 Verizonのクラウド技術戦略家Beth Cohen氏も、エッジアーキテクチャとユースケースに関するForumセッションを先導しました。

・次はOpenStackの製品ユーザーからの発表です。

先週のサミットでは、30以上のOpenStackユーザー が発表をしました。その中でも、オーストラリアの企業による発表は初めてでした。以下にいくつかの発表を取り上げましたが、OpenStackのビデオページ ですべてを見ることができます。

12.
Adobe Advertising Cloud は4人のチームメンバーしかいない中、100,000コアのOpenStackを管理しており、パブリッククラウドと比較して30%のコスト削減を実現しています。ハイブリッドクラウド環境の必要性を認識したNicolas Brousse氏とJoseph Sandoval 氏は、現在3大陸の6つのデータセンターにあるOpenStackのプライベートクラウドの対応範囲をさらに成長させるというクラウドバースト戦略について発表しました。

13.
American AirlinesとDXCはエンタープライズ分野におけるOpenStackプライベートクラウドの導入経験を共有し、自動化、統合、アプリケーション、PaaS(Platform-as-a-Service)などのさまざまな検討事項について議論しました。

14.
AT&Tはますます拡大する顧客の需要とネットワークの拡大を満たすために、OpenStackコミュニティの進化が進展している理由について議論しました。月曜日の基調講演で、AT&T Business Solutionsの事業運営責任者であるSorabh Saxena氏は、OpenStackを搭載したAT&T Integrated Cloud(AIC)に依存している製品のポートフォリオについて話しました。これらのサービスには、ネットワークオンデマンド、DirecTV Now、Cricket Wireless、FirstNet、アメリカの警察、消防、救急医療サービスに特化した最初のブロードバンドネットワークが含まれています。

15.
オーストラリアのPeregian Beachを拠点とする商用LinuxメッセージングプラットフォームプロバイダーのAtmailは、インフラの15%を占めるOpenStackを選んだ理由について発表しました。このインフラによって100カ国以上で1億5,000万以上の電子メールアカウントが提供されています。

16.
CERNとStackHPCは、科学者向けのプロトタイプや柔軟な製品アプリケーションの提供をサポートするために、大規模デプロイとPaaSの提供をサポートする初期の一部の作業について説明しました。具体的には、CERNの大型ハドロンコライダー(LHC)とSquare Kilometer Array(SKA)電波望遠鏡という次世代インフラや科学的目標について議論しました。特にRDMA対応の実行フレームワークと基礎ストレージを提供するベアメタルのOpenStackがフォーカスされました。

17.
China Mobile はNFV / SDNネットワークの自動統合とテストシステムをハードウェア、仮想インフラ、VNFソフトウェアのベンダーたちとどのように設計したのかにについて話しました。このネットワークは、中国の4つの州に展開された10以上のOpenStackクラウドを含んでいます。

18.
Superuser Awardsに決勝進出したChina UnionPay は、OpenStack Community Financial Services Teamの立ち上げと、OpenStackを搭載した金融クラウドを構築した5年間の経験について共有しました。 China UnionPayのOpenStackクラウドは5億人のユーザーをサポートしており、1日平均5,000万件、ピーク時に毎秒3,000件のトランザクションを処理しています。

19.
Superuser Awardsの決勝進出者であるChina Railway Corporationは、オープンソースの採用とプライベートクラウドSinoRail Cloudの導入についての経験を共有しました。鉄道事業の革新を促進するためのオープンソースクラウドの展望や、伝統的な大企業におけるクラウドコンピューティングの動向と方向性が議論されました。 SinoRailクラウドは、最近の行事で毎日310億ページビューをサポートし、すべての列車、機関車、乗り物のリアルタイム運行管理を、安全で安定した24時間体制でサポートしています。

20.
金融サービスはOpenStackにとって最も急速に成長している業界の1つです。 Commonwealth Bankのシステムエンジニアリング担当責任者であるQuinton Anderson氏は、「出回っている」オープンソースがどのようにオーストラリア最大の銀行のひとつであるCommonwealthに集結しているのかについて共有しました。

21.
オーストラリア最大の医学研究機関の一つであり、ゲノム研究の世界でトップ5にあるGarvan Institute of Medical Researchは、ユーザー、データ科学者、研究者により良いサービスを提供するためにOpenStackを採用しました。OpenStackがどのようにゲノム解読 」センターと80人以上のデータ科学者にゲノムデータを分析するための革新的なソリューションを提供しているかについて、シドニーサミットで詳しく説明しました

22.
Insurance Australia Group(IAG)は、Red HatのOpenStack技術の基盤となる統合されたオープンインフラに、まったく別のシステムを移行した際に得た教訓について話しました。
ComputerworldUKとの最近のインタビューでは、OpenStackを使ってIAGが何百万ドルも節約していることが話されています。

23.
KDDI Research の発表では、短期間の監視による高速障害検出や、さまざまな測定基準の機械学習によるサイレント障害の検出などの利点を挙げて、障害回復のための監視データを利用するフレームワークの範囲を、Red HatとNECと提携してどのように拡大したかが紹介されました。

24.
Massachusetts Open Cloudはパブリッククラウドが高コストであることを踏まえ、High-Throughput Computing(HTC)を中心としたユースケースや、Massachusetts Open Cloud Marketplace(Giji)でこの機能がどのように利用できるかを紹介しました。

25.
Overtock.comのテクニカルプレゼンテーションではCeilometerがMitakaクラウドの「レガシー」モードから「Gnocchi」モードに変換され、パフォーマンスのトレードオフ、関連ドキュメントの見つけにくさ、そして改善の余地があることが話されました。

26.
会場周辺のスタッカー(OpenStackを使う人)たちがメルボルンカップ(競馬)に賭けていた一方で、Paddy Power BetfairチームはOpenStackに賭けている理由を話しました。彼らは前回のSuperuser Awards受賞者であり、ロードバランス、OpenStackでKubernetesを使用したコンテナセルフサービスのデプロイ、OpenStackクラウドへ400以上のアプリケーションを移行する方法についてをカバーしました。

27.
サウジアラビアに拠点を置く360億ドル規模の通信大手企業であるSaudi Telecom Company(STC)は、優位な市場地位を築き、王国や中東地域全体の政府、企業、SMB部門にパブリッククラウドサービスを提供していくことを決定しました。
STCはクラウドの基礎としてOpenStack技術を選択し、MirantisやNetAppと提携して信頼性とコスト効率の高いソリューションを構築しました。シドニーでは予備目標だけでなく、その過程にある課題や経済的な決定も共有されました。

28.
パネルに参加したTelstraは、物理ネットワーク機能(PNF)から仮想ネットワーク機能(VNF)への移行に関する開発ユースケースをプレゼンしたほかに、新しいネットワーク仮想環境と50msの収束を達成するような旧技術のプラットフォームを統合するといった、通信事業者の主要課題について議論しました。

29.
Brendan Mackey教授とNectarクラウドのGary Egan氏は、OpenStackを使った研究 が気候変動や脳画像などの分野でどのように大きな進歩をもたらしているのかついて議論しました。
12,000人の登録ユーザーと27,000以上のコアを持つNectarクラウドは、研究助成金を勝ち取った13の戦略研究分野と300以上のプロジェクトで利用されています。

30.
ボストンサミットでエッジコンピューティングのデモを行ったVerizonは今回、容量無限の錯覚や、大量に分散したOpenStack:データセンターの外について考えるというブレークアウトセッションと、エッジコンピューティングに関する参照アーキテクチャについて議論するForumセッションを行いました。

31.
サミットの2週間前、Workdayは仮想マシンやベアメタルを含むすべてのデータセンターでOpenStackの方へ進む戦略についてのケーススタディを発表しました。シドニーサミットでは上級主席ソフトウェア開発エンジニアのEdgar Magana氏がSaaS会社の現在のOpenStackの50,000コアの規模についてと、2018年末までに3倍の容量を計画していることについて話しました。

32.
Yahoo!は旧技術のインフラから巨大規模のエンタープライズをOpenStackに移行する方法を学びました。アーキテクトのJames Penick氏はこれが難しい作業であることを認識した上で、チームがとった技術的な解決策について議論しました。

・今後の予定

Sydney Summitは終わってしまいましたが、次の準備は始まっています。次は2018年5月21日〜24日に開催されるVancouver Summitにぜひ参加してください。その次は2018年11月13日~15日のOpenStack Summit Berlinが待っています。

※本コラムは以下のブログを意訳したものです。

引用元
http://superuser.openstack.org/articles/openstack-sydney-summit-recap-50-things-need-know/

※本コラムは原文執筆者が公式に発表しているものでなく、翻訳者が独自に意訳しているものです。

 


 

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