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第10回 中国のある大手国有企業がOpenStackを採用した理由 (野田貴子) 2017年10月

こんにちはー。野田貴子です。今回は海外で公開されているOpenStack関係のコラムを意訳します。英語が苦手な方にとっては、日本語で要約版があると助かるのではないかと考え、日本語訳したものをご紹介いたします。
興味がある方はご参考ください。海外動向を理解する上での参考になれば幸いです。

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大規模な国有企業を仮想化しクラウドコンピューティングへ移行する最速の方法は、オープンソースソフトウェアを使用して独自のプライベートクラウドを構築することでしょう。

たとえば事例として、中国のSinorail Information Cloudがあります。鉄道建設や関連産業向けのこのITインフラは、Beijing Sinorail Information Engineering GroupとBeijing T2Cloudが協力して構築しました。SRCloud OS / T2Cloud OSはOpenStackやその他のオープンソースソフトウェアを使用した大規模なプライベートクラウド製品であり、2017年の初めに第1フェーズがローンチされました。中国鉄道情報技術センターの子会社であるBeijing Sinorail Information Engineering Groupは、鉄道などの産業にITサービスを提供しています。Cloud Tutengはクラウドプラットフォーム製品とサービスプロバイダーでよく知られ、中国で長年にわたりOpenStackを支持してきました。

中国の巨大鉄道システムは地方産業の柱であり、その軌道は約124,000kmに及びます。また中国の高速鉄道は全長2万kmあり、これは中国以外の国の高速鉄道を合計した長さよりも長くなっています。中国での鉄道への投資額は年間8,000億元以上、つまり123.6億ドルを超えています。そのため、メインフレームとミニコンピュータと集中型ストレージ、あるいはブレードサーバと仮想化と集中ストレージを使った従来のITアーキテクチャからクラウドコンピューティングへのアップグレードが一刻も早く必要です。クラウドコンピューティングには高度な機敏性があり、新しいイニシアチブで必要とされるローンチやアップデートに迅速に対応でき、またクラウドコンピューティングの高い信頼性によって、乗客や貨物輸送のスムーズな運用が保証されるのです。

彼らはなぜOpenStackを採用したのでしょうか。Beijing Sinorail Information Engineering Groupの副支配人であるRao Weiは、評価基準として、ハードウェアとソフトウェアを修正し、ベンダーのロックインを回避する能力が主な要件であったと述べています。彼のチームは、技術開発、コミュニティ、充実したユースケースの観点からもOpenStackが最適な手段であるという結論にいたりました。

この過程において、Weiは2つの優秀なチームに助けられました。T2CloudとBeijing Sinorail Information Engineering Groupは、OpenStackモジュール、Sinorailの技術と生態系、自動デプロイ、自動検出、その他ツールを組み合わせる共同作業を行い、Sinorail Information Cloud製品の4つの研究開発目標(安定性、安全性、柔軟性、ユーザビリティ)を達成するための実現可能な方法を見つけました。

テストでは、2つのチームが共同開発したOpenStack製品が、プロジェクトデプロイの第1フェーズで単一のゾーンに10万個クラウドホストと800個のノードを安定して運用できることが証明されました。このプロジェクトに取り組んだ人々は、これほど大規模なサービスのデプロイ、全面的な並列入出力、ストレージへの重圧、ネットワークと帯域幅への負荷といったものを従来のプラットフォームで見たことはありませんでした。

WeiによるとSinorailプロジェクトは、OpenStackコンポーネント、認証システム、メモリインターフェイス、ネットワークインターフェイス、ネットワーク下のDHCPサービス、転送サービスに元々存在する潜在的な問題を考慮した上で、プロジェクトのプレビュー、環境負荷測定、コード修復といったことをデプロイ前に入念に準備したということです。

デプロイの工程では、MagicStackとT2Cloudが開発した別の自動化ツールを使用して800個の物理ノードが自動的にデプロイされました。この全工程にはわずか1日しかかかりませんでした。Sinorailプロジェクトの責任者であるFan Weipengは、顧客サービスの安定した運用を保証するために、テスト環境におけるWebサービスやファイルシステムサービスなどの多くのアプリケーションサービスを移行し、自動的にデプロイしたと話しています。

Beijing Sinorail Information Engineering GroupはT2Cloudをパートナーとして選ぶ前に、国内外の多数のOpenStackベンダーを評価しました。T2Cloudに決定した要因は、T2Cloudが単なる仲介役となるのではなく、顧客がオープンソース技術を正しく把握し、それをプロダクションに合わせて適用する手助けをするといった実践的なアプローチに焦点を当てていたことです。共同研究開発プロセスの約2年間、両者は安定性と信頼性を得るために多くの投資を行いました。

Sinorailプロジェクトによって、OpenStackが中国でどのような方向性を持っているのかを垣間見ることができます。このプロジェクトはOpenStackのデプロイとメンテナンスの難しさというビジネス上の問題を軽減し、OpenStack製品の開発の可能性を探り、ベンダーと顧客が緊密に連携できる仕組みを実証してみせました。Weiは「OpenStackの経験を分かち合い、OpenStackに貢献してくれたことを嬉しく思っています」と話し、オープマインドを支持しながらOpenStackの国内採用を促進する研究開発プロジェクトがさらに増えることを期待していると付け加えました。

 

※本コラムは以下のブログを意訳したものです。

引用元
http://superuser.openstack.org/articles/sinorail_case_study/

※本コラムは原文執筆者が公式に発表しているものでなく、翻訳者が独自に意訳しているものです。

 


 

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