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昨今、機械学習ブームの影響もあってか、数学を学び直したいという機運が高まっているように感じます。そこで今回は、数学をひとつのITスキルと捉え、数学を学ぶ利点や方法などについて考えていこうと思います。まず、数学の仕組みと学校教育における数学について考えます。学校で学ぶ数学は、カリキュラムに沿って必要な基本事項を学んで行きますが、大人が学び直すときはカリキュラムに縛られる必要はありません。応用事例から興味をもって、どのような数学が使われているのか知るという道筋もあると思います。さらに、数学を学ぶとき、コンピュータの助けを借りるというのは強力です。ここでもPythonが役に立ちます。
数学は、定義や公理と呼ばれる証明無しで認められる事実から、さまざまな定理を証明します。実際の問題はこれらの定理を使って解くことができます。例えば、直角三角形の斜辺の長さは、のこり2辺の長さをそれぞれ2乗して足し合わせ平方根をとったものです。有名なピタゴラスの定理ですが、これを知っていれば数値計算で斜辺の長さを求める事ができます。学校の教育は、洗練されたカリキュラムに沿って、各分野ごとに数学の基礎を学んでいきます。ここで必要となってくるのは、定理を証明するための完全無欠な論理展開能力と、ミスの許されない計算能力です。学校のテストでは、これらの能力を問われます。しかし、緻密な論理展開やミスのない計算を得意とする人はあまり多くはないでしょう。私もよく、数学のテストで計算ミスをして痛い思いを何度もしました。それでも私は数学を嫌いにはなりませんでしたが、多くの人が数学に苦手意識を持ったり、そもそも自分には理解出来ないものだと誤解したりする理由はこのあたりにありそうです。
紐の両端をもって、力を入れずに垂らすと曲線ができます。これは懸垂線(カテナリー曲線)と呼ばれるものです。たとえば、2本の電柱に支えられた電線や、ネックレスなどに見られる曲線です。また、ボールを空中に放った時に見られる軌跡は、放物線と呼ばれる曲線で中学校の数学でも習います。イタリアの偉大な天文学者ガリレオ・ガリレイは、懸垂線を放物線だと思っていたようですが、懸垂線は放物線ではありません。指数関数または、ハイパボリックコサイン(cosh)で表現される関数です。こう言われると、指数関数や、coshにちょっと興味が湧いてこないでしょうか?さらに、どうしてそのような関数が導き出されるのかを知りたくなると、微分方程式が必要になります。微分方程式を解くには、微分と積分の知識を習得する必要があります。微分積分を学んで微分方程式を解けるようになるのは、それなりに大変ですが、その数学がどのような現象を説明するために役立つのかを知っていると、学びの意欲が続くのではないかと思います。
数学を学ぶとき、コンピュータの助けを借りることは必須といっても過言ではありません。例えば、統計学では正規分布や信頼区間など、さまざまな概念を学ぶ必要があります。教科書には丁寧な説明と、場合によってはグラフが掲載されているでしょうが、コンピュータを使えばこれらのグラフを動かす事ができます。Pythonは科学技術計算のためのパッケージが揃っているので、すこしコードを書くだけで、数学の理解を助けてくれる小さなプログラムをすぐに作る事ができます。これはコンピュータが発達した現代だからこそできることで、一部の有識者が指摘するように、数学教育をコンピュータの利用を前提としたものに刷新する試みは、興味深いと思います。数値計算だけではなく、xやyなど変数で表現された式を変形する作業もコンピュータにお任せできます。商用のソフトウェアでは、Mathematicaが有名です。Mathematicaは歴史も長くかなり高性能ですが、PythonでもSymPyというオープンソースのパッケージがあり、高校レベルの問題であればすぐに解いてくれます。数学を学ぶときに、数式の変形は避けて通れませんが、ここでもコンピュータの力を借りる事ができるのです。
数学をひとつのITスキルと捉えると、いろいろなメリットが考えられます。変化の激しいIT業界で、基礎的な数学は変化することがありません。さらに学習をすすめて、大学初等レベルの数学を身につければ、機械学習アルゴリズムの中身がわかるので、パラメータの設定などで大いにその知識が役に立ちます。ぜひ、身近に溢れる応用例から、数学に興味をもってみてください。また、学び進める時は容赦無くコンピュータの助けを借りましょう。大人の学び直しは、決められたカリキュラムや規則に従う必要なないので、自由です。私も偉そうな事を言えるような立場ではないので、精進して行きたいと思っています。お爺さんになって、縁側でお茶を飲みながらリーマン予想の証明にチャレンジしたいです。
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