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暗闇に閉ざされた一方通行のトンネルで
日々、光を求めて生死の狭間を彷徨いながら
虚ろな瞳で漆黒の空間を朧気に見つめている
痛みを忘れるために、時折無闇にアクセルをふかしながら
毎日を手探りで当て所のなくただ前に進んでいく
薄い空気の中から生存本能が酸素を選び出しながら
崇高な反芻、吸い込んで吐き出してひたすら繰り返す
終わらない苦痛を伴いながら呼吸をやめない無意識の反復をやめない
そして当て所なく誰かへ届くのか知る由もなく
心折れない限り自分の声が枯れ果てるまで叫び続ける
夜が続く闇の彼方の先、遠くにある筈の光
悶え苦しみ続けながらこの命尽き果てて
己の身体朽ち果てるまで叫び続ければ
ささやかな何かを成し遂げることができるのだろうか
後世に僅かな痕跡として爪痕一つ
目まぐるしく移ろい行く世界でその先の未来へ
確かにこの世に存在したという証明の替わりに
果たして何かの種を遺すことができるのだろうか
己の肉体が立ち上る煙と化して消えてしまう
全てを無に帰す、その時が来る前に
『りょう』:
「デオキシリボ核酸」"DeoxyriboNucleic Acid; DNA"は、遺伝情報の継承と発現を担う高分子生体物質です。情報の蓄積と保存処理を担当します。
「リボ核酸」"RiboNucleic Acid; RNA"は DNAと同じくヌクレオチドの重合体ですが、伝令RNA "mRNA"、運搬RNA "tRNA"、リボソームRNA "rRNA"、ノンコーディングRNA "ncRNA"、触媒RNA(リボザイム)"ribozyme"、そして二重鎖RNA "dsRNA" と目的に応じて合成、分解を通し組み替えられて生体内で伝令としてのメッセンジャーや伝達物質の運搬など様々に異なる役割を持ちます。情報の一時的な処理を担当します。
DNA (DeoxyriboNucleic Acid) デオキシリボ核酸塩基の基本構成は、
1. アデニン (adenine; A)
2. グアニン (guanine; G)
3. シトシン (cytosine; C)
4. チミン (thymine; T)
RNA (RiboNucleic Acid) リボ核酸塩基の基本構成は、
1. アデニン (adenine; A)
2. グアニン (guanine; G)
3. シトシン (cytosine; C)
4. ウラシル (uracil; U)
見比べると一つだけ違います。チミンがウラシルに置き換わっています。チミンとウラシルは非常に似た塩基です。
RNA は DNAを鋳型にして転写して合成されるのですが、生体内で頻度高くタンパク質を合成、分解する役割を果たすことが出来る様に創られています。
DNA は、シトシンが化学分解されるとウラシルが生成されてしまうので、ウラシルではなくチミンが採用されています。間違ってウラシルが生成されてもエラー検出が出来るからです。まるでECCメモリーと同じでエラーチェック機能がついた半導体メモリーみたいです。
DNA と RNA それぞれが役割に適した構成要素になっており、 DNA は確実に情報を蓄積して保存する永続化でありハードディスク的位置づけ、RNA は情報を編集や翻訳するための一時的処理領域としてのメモリー的な位置づけであり、情報伝達するのに体内ネットワーク間を通信する転送単位であるパケット的な利用を併せ持つと理解できます。
『りょく』:
DNA と RNA はその処理手順をなぞることで各々の役割が理解できそうです。
遺伝情報は「DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質」の順に伝達されます。
1. DNA の遺伝情報は、 mRNA(伝令RNA)に転写されます。
2. mRNA が細胞質へと移動してリボソームに結合します。
3. リボソームは、tRNA(運搬RNA)が運んできたアミノ酸と mRNAの塩基配列と結合させます。
4. RNAの情報からタンパク質を合成します。これを「翻訳」といいます。
5. 遺伝情報が伝達されたタンパク質が出来上がりますこれを「発現」といいます。
この遺伝情報の伝達過程である概念を指す用語、これが「セントラルドグマ」"central dogma" と呼びます。ジオフロント最深部で「ロンギヌスの槍」があった場所「セントラルドグマ」の由来です。
『りく』:
遺伝物質である DNA (デオキシリボ核酸)のデータ密度は膨大で 1 g(gram; グラム)という僅かな質量に 1 ZB( zettabyte; 1 ゼタバイトは、10垓バイト。塵劫記での命数は、億、兆、京、垓、の順番)という膨大なデータを保存できます。
マイクロソフトによってこの研究が進められているそうで、バイナリデータを DNAの塩基対をストレージと見立てて膨大なデータの長期保存に適用しようとしています。
もし実現すればですが、現存する全世界のあらゆるデータが DNA では数千グラムで保存可能になります。
人間は 60兆個の細胞で構成され各々の細胞にそれぞれに核が存在します。核の中には 46本の染色体があり、その染色体には 30億個に及ぶ DNA(デオキシリボ核酸)の塩基対があります。
単純計算すると、ヒトが持っている DNA の数は 60兆個 x 30億個 = 1.8e+23(千八百垓)個になります。
1500個分の DNA の質量は、約 10 ng(ナノグラム)らしいです。
10 ng(ナノグラム)は、1e-8 g(グラム)。
1.8e+23 ÷ 1500 × 1e-8 = 1.2e+12 g(グラム)。
ヒトが持つ DNA の質量は、約 1.2兆グラムと算出できます(但し、塩基対の長さは異なるので、この大雑把な計算が近似値を得ているかは不明です)。
これは、ヒトがたったの一人で神羅万象すべてをデジタルで記録できる媒体になり得るということです。
「マトリックス」"The Matrix" では、人間がバッテリー(9V電池)にされる世界観でしたが、ヒトは超巨大なデータ・ストレージにもなれるかもしれません。
『りつ』:
ドイツの研究者グループによる「エピジェネティクス」を解明しようとしている研究がマイルストーンを達成しています。
「エピジェネティクス」"epigenetics" という聴き慣れない単語は、「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される後天的な遺伝子制御(遺伝子発現あるいは細胞表現型)の変化」を主な研究対象とする学問領域を指す用語です。
マックスプランク免疫生物学エピジェネティクス研究所のグループは、環境要因に由る後天的に変化した「遺伝子のスイッチ」が次世代に遺伝するメカニズムを解明しようとしている研究です。
「ショウジョウバエ(猩猩蠅)」"Drosophila melanogaster" を使った実験で 「H3K27me3」(ヒストンH3の27番目のリジン(K)残基がトリメチル化された状態)という物質の分布を調べた。"H3K27me3" は様々な遺伝子発現の調節に関わる抑制性クロマチン修飾の一つだからです。
ショウジョウバエの精子と卵を掛け合わせて生殖細胞がつくられる実験では、卵細胞には多くの "H3K27me3" が残されていることを突き止めました。母親から伝達される胚にいっぱい残っているのです。これは母親が後天的に獲得した形質(経験値)が、子孫に継承されることを意味します。子供は母親の経験を得るのです。
「H3K27me3」はショウジョウバエだけでなくマウスでも胚にあるクロマチン構造(DNAとタンパク質の複合体)の中にあります。「H3K27me3」はヒト(人間)にもあります。
逆に胚の中にある「H3K27me3」を人為的に削除してしまうと胚が成長しませんでした。これは、「H3K27me3」は生命を得るために欠かせない必須の要素であることを示します。
細胞分裂を繰り返し大きく胚が成長するには、母親から受け継いだ遺伝子コードを正しく処理して転写(コピー)する必要があるのです。
我々が後天的に得た情報である環境、社会、文化や生活習慣そして感情や経験。
もがき苦しんで生きてきたことは、エピジェネティクな情報として子孫がこれから直面する難題を回避するのに役に立つはずです。個体が得た経験が後世に脈々と受け継がれます。
それは「母親からもらえる最初のマニュアルのようなもの」と表現されていました。
培った経験は後世に残せるのかもしれないのです。
母親にはなれませんが、環境要因の一つにはなれます。
痕跡を残せるかもしれない。そんな希望を抱きます。
『りん』:
遺伝子の分子構造は、後天的で外因的な環境などに影響を受けるらしいことが分かってきました。「生命の設計図」である DNA に環境や生活習慣で得た情報を書き込んでいて受け継がれます。
別の研究グループが行ったミツバチの実験を通して分かったことは、エピジェネティクな情報はこの「遺伝子のスイッチ」が入ると切り替わるのだそうです。
外界から要因により「遺伝子のスイッチ」が入ると RNAが変化することで遺伝するのです。DNAの塩基配列を変化させずに、伝播するのです。
食事や居住環境の変化、疾病などの身体的変化、強い孤独感などの感情までもが「スイッチ」を押すことになるそうです。これは、営々と培った能力である目まぐるしく変化する社会環境にいち早く順応するための生存本能が機能しているとも言い換えることができそうです。
逆に幸福感が免疫細胞に及ぼす影響についても研究が成されています。
幸福の種類によって免疫細胞の遺伝子スイッチが変化するらしいですが、幸福を感じることが疾病予防や疾患治療の一環になるのかもしれません。
『りな(りなっち、りなじ、りなぞう、りなよ、りなこ、りなむ)』:
「ケムリクサ」は現在テレビ放映中の CGアニメーションです。
ヤオヨロズ株式会社がアニメーション制作、「たつき」(尾本達紀)監督が原作、脚本、コンテ、演出と牽引しています。
現在放映中のテレビアニメとは別に、2010年から「たつき」監督が趣味で自主制作した「ケムリクサ」をニコニコ動画に投稿したものが話題となりました。現在 YouTube で観ることができます。
この自主制作版を下敷きに新たにリブートしたのが、放映中のテレビアニメ版です。
2019年1月から放映されています(執筆現在時点で第十一回まで視聴しました)。
このコラムが掲載される頃には最終回(第十二回)が放映されて終わっているはずです。
さてこのサバイバル物語がどんな結末を迎えているのか、少し不安です。
『さいしょのひと(りり)』:
「ケムリクサ」を知ったのは「KEMURIKUSA」という曲からでした。
ネットサーフィンでいつものように「ミチクサ」(道草)している傍で偶然に出逢って観た動画でアニメーションの主題歌を良く歌っているらしいバイリンガル歌手の「ナノ」"nano" の歌声を聴きました。
それが「KEMURIKUSA」という楽曲でした。
静かな出だしとは裏腹に突然思わぬ方向から希求の叫びを聴いたかのように反応してしまう程に、胸の奥に激しい感情を呼び起こす様な歌声です。
最初のワンフレーズで惹き込まれてしまい巻き込まれてしまいリピートです。
ハイトーンの叙情的な歌声だけでなくバックのエレクトロニカで装飾されたタイトなリズムを刻み転調を繰り返してギアが上がったスピードチューンというサウンドもとても好印象です。リズムやアレンジは一辺倒でなく曲間で音数減らして唄メインで強調されてスローになったあと加速するテンポの強弱も良い塩梅です。
ヘビロテです。
崇高な反芻です。
「KEMURIKUSA」を聴くまでナノの存在を知らなければ、この楽曲がアニソンだということは勿論知りません。
この楽曲をテレビアニメ「ケムリクサ」のオープニングテーマ曲だというのは後で知りました。
これが「ケムリクサ」への入り口でした。
テレビアニメのエンディングテーマは「ゆうゆ feat.ケムリクサ」による「INDETERMINATE UNIVERSE」(不確定な世界)という楽曲はボーカロイドを使ったオープニングとは正反対の曲調です。
テンポは早いですがクラシカルでメロディアスな曲調で楽曲そのもの自体がクオリティ高いです。
同じ曲で声優がボーカルを担当したカバーバージョンもあります。
オープニングとエンディングテーマの二曲ともが完成度が高くとても良い曲でおススメです。
機会があれば是非聴いてみてください。
『わかば』:
「急性骨髄性白血病」(白血球中のリンパ球ががん化する病気)は、治療後に再発してしまう確率が高く完治が難しいとされています。
そのような予後不良に悩まされる疾患に光明を指す治療法として
「キメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子改変T細胞療法」(Chimeric Antigen Receptor modified T cell Therapy; CAR-T細胞療法) が最近話題になっています。
この「CAR-T細胞療法」の治療法は、患者の体内からリンパ球を取り出しその中にある T細胞を「がん細胞(を含む標的タンパクを発現する細胞)だけを攻撃する」命令に再プログラムして培養します。これをキメラ抗原受容体(CAR)という人工的な蛋白を使って組み込みます。この様にして特異的に「がん細胞だけ」をピンポイント攻撃するようにリプログラミング(遺伝子操作)された「癌細胞撲滅特務隊」(CAR-T細胞)を患者に投与します。
この新しい免疫療法と従来の分子標的薬などを上手く併用して、すべての悪路を断つことで完治が見えてきそうです。
危急の方々の為にも早く承認されて欲しいですし、皆が投薬出来るように安く使えるように量産手順化してくださいと切に願います。
先般、ノーベル賞が授与された本庶佑教授が切り開いた癌免疫療法を発端に開発された「オプジーボ」も免疫チェックポイント阻害薬であり免疫療法が第三の手段として有効だと世にお示しされました。
前述の CAR-T細胞療法も自分の細胞を使って途中降板したピッチャーを大リーグ強化ギブスで免疫機能を強化することで「魔球」を編み出して火消し役のリリーフとして再投入するのも免疫療法です。
探しているものは、見つけにくいものです。
遥か彼方ではなく、身近にありました。
生命を得てから長きにわたって環境に適合して生存してきた
生き抜く情報が自分の中に蓄えられていたのです。
先ほどの研究では、幸福感が免疫細胞に影響することを紹介しました。一説には幸福感が「セロトニン」"serotonin" というホルモンの分泌が促進されることで神経ネットワークのバランスを整えてくれることも別の記事で解説されていました。彼方此方で幸福感が有機体システムを健全に保つ上で大事な因子であることに気づかされます。
自ら持ち得る免疫細胞の機能を高めて病気を治療するには、幸せになることが近道というのは何だか皮肉めいていますが、素直に受け止めることが出来るのであれば、なんて素敵なことなのだろうと想い馳せます。
それは、幸せを感じることが幸せになる秘訣だったんだという当たり前のことだからです。
逃れられない重圧、何をしているのだろうという虚無感、悲しい記憶、胸の奥の痛み、苛まれる孤独感、辛いことが続いたそれら一切すべてを捨て去り、マイナスを振り切りプラスに転化するためには誰かと繋がって楽しみを分かち合い人生を謳歌することが出来れば「幸せ」を感じることが出来るはずです。
幸せのおまけで未病を実践できることでしょう。
人生を楽しむためには、健康が何より必要ですから。
それと何度も脳裏を過ぎる度に考え続けてきた、己は一体全体何を形として残せるのだろうということ。
それは一人一人がそれぞれの道を生き続けること、自分が目一杯生きたその果てに、確かに自分がこの世に存在した証明と、延いては未来を生きる子孫の糧になる有益な情報が残せるのかもしれません。
それは形がないものかもしれません。
喩えそれが見えなくても湧き上がった感情の様に確かに存在するでしょう。
己が何を残せるかはわかりませんが、道の真ん中を真っ直ぐにその瞬間瞬間を生き延びていこうと思います。
次回をお楽しみに。
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