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第10回 OK Computer 2012年4月

 幼き日々に夢見ていた未来が唐突に急接近してきました。

 太陽光発電、電気自動車が、ここ数年で実用化され現実に普及し始めています。
 リニアモーターカー、電気バイクも近い将来実用化されるのでしょう。
 歴史あるマン島レースにて電動バイクレース(TTxGP, TT Zero)も盛んになり、あの「金田のバイク」が近い将来には市販されることを期待させます。

 情報通信分野では、ビデオシーバーはスマートフォンやSkype、FaceTimeで、音声操作は、Siri、Evi など音声認識技術を駆使して実現されつつあります。

 S.F.でコンピュータを音声操作する場面としては、映画版スタートレックの一場面で過去にタイムワープしたチャーリー(スコッティ)が、Macintoshのマウスを持って話しかけるシーンが秀逸です。音声入力だと勘違いしたのです。USSエンタープライズ号のコンピュータ(LCARS)は、音声操作だからです。スコッティはこの後、凄い勢いでキーボードをタイプします。
 現実でもGoogleがMajelという音声認識エンジンを開発中であり、これは、スタートレックでコンピュータの声を演じた「Majel Barrett」に由来する名前だそうで、今年中にはお目見えすることになりそうです。

 コンピュータへのインターフェースとしては、ウィリアム・ギブスン原案映画「JM」でのキアヌリーブスを思い出します。アイマスクとグローブを装着して手を動かすことでネットに接続し体感的に情報を操作する姿は、まさに理想のインターフェースでありましょう。グローブと言えば、ファミコンでの「パワーグローブ」というコントローラが思い出されます。更にゲームコントローラと言えば、Kinectセンサーが画期的な入力装置として登場しています。
 ジェスチャーで操作可能な直感的なインターフェースは、アクセシビリティの効能は勿論のこと、ゲームの枠組みを超えて様々に活用できることでしょう。

 前述のJMのワンシーン同様、マトリックスでも仮想現実でコンピュータを操作する場面がありましたが、これらはAR(Augmented Reality)技術が可能にしてくれることでしょう。拡張現実と訳されるこの技術は、現実世界に情報を付加して提示してくれるものです。セカイカメラを はじめとしてスマートフォンなどを中心に幾つかのアプリケーションが登場し始めています。

 Googleでもこの「拡張現実メガネ」を開発中でGoogle X Labを母体にProject Glassと呼ばれ、メガネ型の機器に様々な情報がストリーミングされてくるという代物です。NECでも同様な試みでテレスカウターというヘッドマウント ディスプレイを昨年発売しています。
 これらの未来メガネは、まさに「電脳コイル」を想起させるものです。

 心象風景に浮かぶ未来世界への憧憬は、あれから何十年経っても現実世界にお目見えしていませんでしたが、急速に今、未来が眼下に見えてきました。
 長年、地道に研究されていた基礎技術が開花の季節を迎えたようです。
 やっと二十一世紀の香りが漂い、幼少期に眺めた絵本の挿絵が現実になる様を眺めることができるのでしょう。これからの変化を是非楽しみたいものです。

 少し先の未来、コンピュータの流麗な合成音声の「これを処理します」を傍で聞きながら、単に「オーケー、コンピュータ。」と返事をするだけで事足りるような光景が描かれるのかもしれません。

 では次回もご期待ください。

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