Pythonでネットワーク自動化をしよう
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第15回 ネットワーク自動化のためのPythonライブラリ
(小澤昌樹)
2023年10月
1. はじめに
みなさん、こんにちは。
このコラムでは、これまでにPythonの基本的な使い方について学んできました。Pythonは非常に強力なプログラミング言語であり、様々な用途に広く利用されていることを説明してきました。また、Pythonには幅広いライブラリやフレームワークが提供されており、これらを活用することで効率的なプログラミングが可能になることも紹介しました。Pythonのライブラリには標準ライブラリとサードパーティ製のライブラリがあり、これらを組み合わせることで複雑なタスクをシンプルに実装することができます。前回のコラムでは、Pythonライブラリの導入方法や基本的な使い方についても説明しました。
さて、今回からは、Pythonを使用してネットワークを自動化する方法について説明していきます。ネットワーク自動化においても、Pythonのモジュールやライブラリを活用します。ライブラリを使用しながら、ネットワーク機器との通信や設定変更、データの収集などの操作を行ってみましょう。Pythonを使用してネットワークを自動化することは、ネットワーク管理や運用を効率化し、ネットワーク運用作業の自動化に大いに役立ちます。
2. ネットワーク自動化で使えるモジュールやライブラリ
ネットワーク自動化のためにPythonで使用できるモジュールやライブラリには以下のようなものがあります。
- subprocess
Pythonの標準ライブラリで、外部プロセスを起動したり、そのプロセスと対話したり、外部コマンドを実行したりするためのモジュールです。Pythonスクリプトから外部コマンドを呼び出し、それらのプログラムとデータのやり取りをすることができます。ネットワーク運用でpingなどのコマンドを実行したい場合に使用します。
- telnetlib
telnetlibもPythonの標準ライブラリの一部で、Telnetプロトコルを使用してリモートホストに接続し、コマンドを送信および受信するために使用されます。主にネットワークデバイスやリモートサーバーへのTelnet接続に使用され、ネットワーク自動化、デバッグ、テストなどの用途で役立ちます。ただし、Telnet接続はセキュリティ上のリスクがあるので、積極的な使用はおすすめしません。また、Python3.11で非推奨となり、将来のバージョンで削除される可能性が高いです。
- Paramiko
SSHプロトコルを使用してリモートサーバーにアクセスするためのライブラリです。リモートサーバーへSSH接続を確立し、コマンドの実行やファイルの転送などのリモート操作を行うことができます。
- Netmiko
ネットワーク機器(ルータ、スイッチ、ファイアウォールなど)を自動化するためのPythonライブラリです。Netmikoは、SSHやTelnetなどのプロトコルを使用してネットワーク機器に接続し、コマンドを送信し、結果を受け取ることができます。また、Netmikoは、さまざまなベンダーのネットワーク機器に対応しており、デバイスタイプを指定して接続することができます。
- NAPALM
NAPALM(Network Automation and Programmability Abstraction Layer with Multivendor support)は、さまざまなベンダーのネットワーク機器に対して、統一された方法で操作するためのライブラリです。ネットワーク機器の設定情報の取得、変更、テンプレートの適用など、ネットワーク機器と対話的に操作することができます。
- Requests
Requestsは、HTTPリクエストを送信するためのPythonライブラリです。HTTPリクエストを簡単に送信し、HTTPレスポンスを処理するためのツールです。GET、POST、PUT、DELETEなどのHTTPメソッドをサポートしているので、簡潔なコードでHTTPリクエストを送信できます。また、ネットワーク機器のRESTful APIに対する要求を自動化するためにも使用できます。
- PySNMP
SNMP(Simple Network Management Protocol)を使用してネットワークデバイスの情報を収集するために使用されます。SNMPはネットワーク機器(ルータ、スイッチ、サーバーなど)の監視と管理に使用されるプロトコルであり、ネットワーク管理者がデバイスの状態や性能を監視し、必要に応じて設定を変更できるようにします。
- Scapy
Pythonでネットワークプロトコルを生成、キャプチャ、操作するためのライブラリです。Scapyを使用すると、カスタムネットワークパケットを生成し、ネットワーク上での通信をシミュレートしたり、パケットキャプチャを実行したりすることができるので、ネットワークのトラフィック調査やパケットの操作に使用されます。
- Beautiful Soup
ウェブスクレイピングやHTML、XMLの解析に使用されます。Beautiful Soupを使うと、ウェブページからデータを抽出したり、HTMLやXML文書を解析したりするのが簡単になります。
- OpenPyXL
Excelファイル(.xlsx形式)を操作するためのモジュールです。PythonからExcelファイルを作成、編集、読み取り、保存することができるので、データ分析、データ処理、レポート生成などの用途で使用されます。
3. まとめ
今回は、ネットワーク自動化に使えそうなPythonのモジュールやライブラリを簡単に紹介しました。ネットワーク運用のタスクを効率的に実行できるライブラリが豊富に用意されています。ネットワークの自動化について具体的なイメージを持つことができたでしょうか?
次回からは、これらのPythonライブラリを取り上げて説明し、ネットワークを自動化するためのPythonスクリプトも紹介します。ネットワークエンジニアやシステム管理者にとって役立つ情報にしたいと考えていますので、ぜひ次回以降もお楽しみにしてください。
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