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みなさん、こんにちは。株式会社シオラボの小澤です。コラム「Linuxでブラ散歩」の第4号です。
前回のコラムでは、多くの方にお馴染みのDebian系ディストリビューション「Ubuntu」を取り上げ、その特徴や、どのような用途に向いているのかなどを紹介しました。
さて、このUbuntuについては、2017年4月5日、公式サイトで以下のような方針変更が発表されました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
「Growing Ubuntu for cloud and IoT, rather than phone and convergence」
今回のコラムでは、ディストリビューションの紹介をお休みして、この方針変更の記事について書こうと思います。
ホームページに掲載された記事タイトルをそのまま訳すと、「Ubuntuは、スマートフォンやコンバージェンスよりも、クラウドやIoTに注力していく」です。スマートフォンに関連した開発を終了するといった内容です。
スマートフォンに関連した開発とは、前回このコラムにも登場した「Unity」に関連するものです。開発が遅れているUnity8、また、コンバージェンスという、Unity8をパソコン、スマートフォン、タブレットで動作させる、2015年ごろから始まったプロジェクトへの投資を終了、つまり開発を終了し、2018年4月にリリース予定の「Ubuntu 18.04 LTS」から、デスクトップ環境を「GNOME」に戻すということが書かれています。
さらに、この記事の中では、
「コンバージェンスに将来があること、また、それをフリーソフトとして提供すれば、フリーソフトウェアコミュニティと、クローズドな選択肢しかないと思っているテクノロジー業界の両方に評価されるだろうと我々は考えていた。しかし、両方に関して間違っていた。つまり、我々の努力は、コミュニティにおいて、断片的でイノベーションでないと受け取られていた。広まらなかった。」
とも述べています。
これは、前回の記事でも書いたように、Unityという独自システムを受け入れないユーザが多くいたことを、Canonicalが認めざるを得ない状況になってきたということでしょう。
Unityは、GUIシェルのことで、縦に配置されたランチャーというスイッチャーが特徴的なユーザーインターフェースです。Ubuntu 11.10から本格的に採用されました。
実は、Unityに対する批判、というか嫌悪感は、機能や性能に対するものではありません。
2012年の話になりますが、リチャード・ストールマンが、フリーソフトウェア財団のホームページで、以下の記事を発表しています。
「Ubuntuはスパイウェアだ」と題したこの記事では、Unityに搭載された検索機能である「Dash」に、Amazonの検索結果が統合されたことを痛烈に批判しています。Dashは、画面左上のUbuntuロゴをクリックすると開く検索機能のことで、アプリケーションやファイルを検索するインターフェースです。ユーザがDashで検索しようと文字列を入力すると、Canonicalのサーバにその文字列が送られてしまう、といった懸念が出てくるのは当然のことです。
この点こそが、フリーソフトウェアコミュニティに受け入れられなかったと述べているところでしょう。
さて、Unityを捨てる決断に至ったUbuntuは、今後どうなるでしょう。
公式サイトの記事では以下のように書かれています。
「企業の成長に貢献している部分に投資するという選択肢がある。デスクトップ、サーバなどののUbuntu本体、OpenStackなどのクラウドインフラストラクチャ製品、MAAS、LXDなどのクラウドオペレーション機能、IoT関連のスナップやUbuntu Coreなど。」
クラウドとIoTに注力しようとしているUbuntuの今後の動向、気になりますね。
今回は、Ubuntuが、Unityの開発を終了し、デスクトップ環境をGNOMEに戻すという記事について取り上げました。
次回は、ディストリビューションの紹介に戻る予定です。Debian系のディストリビューションを取り上げます(何かはお楽しみ)。それでは、また!
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