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これまで2回に渡って、「RHEL Atomic Hostが登場!」と題して、Red Hat Enterprise Linux Atomic Host(RHEL Atomic Host)の解説を進めて来ました。今回は、そのパート3(最終回)として、Atomic Host用にカスタマイズされた「tunedプロファイル」を紹介します。
tunedは、Linuxのさまざまなチューニングパラメーターを環境に応じて自動設定するサービスで、Red Hat Enterprise Linuxでは、RHEL6以降で標準的に利用されています。RHEL6での利用方法は公式ドキュメントにも記載がありますが、ドキュメントの名称が「電力管理ガイド」になっているのにちょっと興味を惹かれます(*1)。これは、tunedの1つの使い方として、サーバーの稼働状況に応じてCPUやネットワークデバイスの稼働速度を落として、サーバーの消費電力を低減するということができるためです。つまり、tunedは、チューニングパラメーターを固定的に設定するだけではなく、サーバーの稼働状況に応じて、ダイナミックにパラメーターを変化させることもできるのです。
tunedの設定は、「プロファイル」という形式で提供されます。これは、サーバーの利用目的に応じて、各種のパラメーター値がまとめて定義されたものです。RHEL6の環境では、デフォルトで下記のプロファイルが用意されています。# tuned-adm list Available profiles: - spindown-disk - laptop-battery-powersave - default - virtual-host - desktop-powersave - virtual-guest - server-powersave - throughput-performance - latency-performance - enterprise-storage - laptop-ac-powersave Current active profile: default
それぞれのプロファイルの使用用途は、その名称からも想像できるでしょう。使用するプロファイルの切り替えなどは、上記の「tuned-adm」コマンドで行います。
RHEL Atomic Hostの環境では、上記の標準的なプロファイルに加えて、「atomic-guest」と「atomic-host」というプロファイルが用意されています。それぞれ、RHEL Atomic Hostを仮想マシン、および、物理ホストで使用する場合に適用するプロファイルです。tunedは、システム環境に応じてプロファイルを自動選択する機能を持っており、RHEL Atomic Hostの実行環境に応じて、どちらかのプロファイルが選択されます。
プロファイルの定義ファイルは、ディレクトリー「/usr/lib/tuned/<プロファイル名>」に保存されています。実際の設定内容はここから確認することが可能ですが、それぞれ、「virtual-guest」と「throughput-performance」をベースとして、SELinuxの処理を高速化するオプションが追加されています。RHEL Atomic Hostでは、コンテナーのセキュリティ確保にSELinuxを活用しており、そのためのオプションと考えられます。コンテナーとSELinuxの関係については、RHEL7の公式ドキュメントにも解説があります(*2)。このドキュメントには、Dockerの利用方法も詳しく記載されていますので、Dockerの参考書としても活用できます。
先日、OpenStack Day Tokyo/2015にあわせて来日していたChris Wrightと、OPNFV(Open Platform for NFV)の活動について話し込む機会がありました。OPNFVは、NFV(Network Function Virtualization)のためのインフラ機能の実装を目指すオープンソースプロジェクトです。Chirsは、そのBoard of Directorsのメンバーとして活動しています。
次回は、Chrisから聞いた話をネタに、OPNFVの現在の活動状況や裏話などを紹介したいと思います。
(*1) 「Red Hat Enterprise Linux 6 電力管理ガイド - 2.5. Tuned および ktune」
(*2) 「Resource Management and Linux Containers Guide - 5.2. Secure Containers with SELinux」
++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
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