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先々週から先週にかけて、Dockerの勉強会講師を2本連続して担当させていただきました。すっかりDocker漬けの日々になりましたが、それぞれ、当日のTweetのまとめが公開されていますので、ご興味のある方は参照下さい。
これらの勉強会では、「Dockerを支える技術」と題して、Dockerが内部的に利用するさまざまなLinuxの機能を解説しました。Dockerのマスコットキャラクターのクジラ(Moby Dock)はみなさんご存知だと思いますが、「Dockerの中で活躍するLinux」ということで、筆者の頭の中では、クジラのおなかが割れて、Tux(Linuxのマスコットキャラクターのペンギン)が顔を出している図が浮かんでいました(笑)。
当日は、Dockerの簡単な使い方も紹介したのですが、時間の制限もあり、コンテナの起動・停止に関わる基本コマンドについて、全体像を整理して解説することができませんでした。そこで今回は、はじめに、Dockerで管理するコンテナが作成されてから削除されるまでの流れ、すなわち、「コンテナのライフサイクル」に関わるコマンドを改めて整理しておきます。
はじめに全体像を図示すると、図1のようになります。ローカルに保存したディスクイメージを指定して「docker run」コマンドでコンテナを起動すると、指定イメージのスナップショット・コピーが作成されて、コンテナに割り当てられます。これは、連載の第42回でも説明した通りです。
図1 コンテナとディスクイメージのライフサイクル
この後、「docker stop」コマンドでコンテナを停止すると、コンテナ内で稼働していたプロセスはすべて停止して、そのコンテナは存在しなくなります。ただし、コンテナに割り当てられていたディスクイメージはそのまま残っています。この後、「docker start」コマンドを実行すると、同じディスクイメージを使用して、再度、コンテナ内でプロセスが起動します。なお、コンテナ内で最初に起動した「PID=1」のプロセスが停止した場合も、「docker stop」で停止した際と同じ状態となります。
その他には、「docker commit」コマンドで、コンテナに割り当てられたディスクイメージを複製して、新たな保存イメージとして登録することができます。これは、コンテナ内でプロセスが稼働している時でも実施できますが、ディスクへの書き込み中に複製すると、データの整合性が失われる恐れがあります。安全のために、「docker stop」でコンテナを停止した状態で実施するのがよいでしょう。
そして最後に、停止中のコンテナについては、「docker rm」コマンドでコンテナを破棄することができます。これにより、コンテナに割り当てられていたディスクイメージが削除されます。不要になって停止したコンテナを破棄せずに放っておくと、不要なディスクイメージが残り続けるので注意が必要です。
ここで説明したコマンドの実行例を筆者のBlogで紹介しているので、そちらも参考にしてください(*1)。
ところで、冒頭で紹介した勉強会では、コンテナ内のアプリケーションをどのように構成するのがよいのか、という点が話題になりました。コンテナを仮想マシンのように考えて、さまざまなアプリケーションやデーモンを1つのコンテナで動かすことも技術的には可能です。しかしながら、筆者は、1つのコンテナでは1つのアプリケーション(デーモン)を実行するのがよいと考えています。
Dockerの本来の目的は、アプリケーションの実行環境をディスクイメージとしてパッケージングして、配布可能にすることです。したがって、図1の「docker run/start/stop」などのコマンドは、ホストマシン上で特定のアプリケーションを起動・停止するコマンドと考えるのが自然です。サーバ上で起動したアプリケーションが、たまたま、コンテナの中に閉じ込められていると考えるのがよいでしょう。
また、Dockerは、仮想ネットワークの機能がとてもシンプルです。外部からのネットワーク接続は、ホストマシンで受けた後にコンテナ内のアプリケーションにポート転送することしかできません。しかしながら、これは、見方を変えると、コンテナ内のアプリケーションが、あたかもホストマシン上で直接に動いているように見せる機能とも言えるでしょう。Dockerが提供するコンテナは、アプリケーションの実行環境を閉じ込めるものであって、ホストマシンから独立したOS環境を提供するわけではない事に注意が必要です。
さて、今週は、定例イベント「VIOPS Workshop」に参加してきます。今回は、「顧客が本当に必要だったもの」をテーマとしたパネルディスカッションが中心で、筆者は、モデレーターとしての参加になります。次回は、こちらのイベントから、話題をお届けしたいと思います。
(*1) 「Dockerにおけるコンテナのライフサイクル」
++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
CTC教育サービス Linuxのページ
http://www.school.ctc-g.co.jp/linux/
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