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12月に入り、さまざまなエンジニア・コミュニティの「Advent Calendar(アドベントカレンダー)」が始まりました。本来の「Advent Calendar」は、12月1日から24日まで、それぞれの日に小窓がついたカレンダーで、毎日、1つずつ開けていきながら、クリスマスが近づくのを楽しむというアイテムです。
これになぞらえて、コミュニティのメンバーが交代で、毎日1つずつBlog記事を書いていくのが、ここで言う「Advent Calendar」です。私も「日本OpenStackユーザ会」と「日本Eucalyptusユーザ会」、それぞれのAdvent Calendarに参加して、さっそく、Blog記事を書きました(*1)(*2)。
さて、今回からは、クラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」、中でもネットワーク仮想化を提供する「Quantum」を紹介します。ただし、その前に、Red HatとOpenStackの関係を説明しておきましょう。
OpenStackは、米RackSpace社とNASAが立ち上げたオープンソースの開発プロジェクトです。IaaS(Infrastructure as a Service)型のクラウドインフラを構築するソフトウェアとして、OpenStackの開発をスタートしました。
その後、さまざまな企業が開発に参加するようになり、今年(2012年)の春には、コミュニティを統括する公式団体として、「OpenStack Foundation」が設立されました。この際に、Red Hatは、プラチナスポンサーとしてFoundationの公式メンバーになりました。
ただし、実際の開発作業には、Red Hatのメンバーも以前から関わっていました。現在の最新バージョンである「Folsom」では、Red Hatからのコード提供数(コミット数)は、約30%と発表されています(写真1)。
写真1 「OpenStack Summit 2012」でのRackSpace社による発表の様子
ちなみに、OpenStack Foundationが開発する最新のコードは「アップストリーム」と呼ばれます。いわゆる「開発版」の位置づけですので、最新機能とあわせて、さまざまなバグも残ります。
Red Hatでは、アップストリームのコードを元にして、独自にパッケージングした「ディストリビューション」も用意しています。RHEL6やFedoraで利用できる、RPMパッケージの形式で提供されており、yumコマンドでインストールが可能です。現在は、商用サポートの無い、無償版のみの提供ですが、2013年には、商用サポート付きの製品版の提供も予定されているようです(*3)。
Red Hat提供のディストリビューションでは、商用サポートの無い無償版であっても、問題を発見したユーザは、Red Hat Bugzillaから報告することができます。
商用サポートではありませんので、問題対応のスピードは内容によってまちまちですが、Bugzillaには、オープンソースならでは利用方法があります。ユーザ自身が問題の原因を調べて、修正パッチを書いて、Bugzillaに登録することができるのです。
たとえ不完全なパッチでも心配はいりません。Red Hatの「中の人」がパッチの内容を調べて、問題解決に役立つと判断した場合は、適切に修正したものをユーザに代わって、アップストリームの開発コミュニティに提供します。ほとんどの場合、「中の人」自身がアップストリームの開発に関わっているので、とても頼りになります。
アップストリームで採用されたパッチは、その後、Red Hat版のディストリビューションにも反映されて、無事に問題が解決するという流れになります。開発コミュニティに直接参加するのは、ちょっと気後れするという方でも、Bugzillaを通じてコミュニティ貢献が可能です。冒頭で紹介したBlog記事(*1)に、その一例がありますので、参考にしてください。
次回から、いよいよQuantumの説明にはいります。Quantumで実現できる仮想ネットワークの例、そして、それらを実現する技術へと進みます。
なお、年末年始は、本コラムはお休みをいただきます。次回は、1月中旬の予定です。
*1)Quantumソースコード拾い読み(即値かよ!)
OpenStack Advent Calender-2012/12/06のエントリです。
*2)Aeolus Conductorで「ぷた☆すー」管理
Eucalyptus Advent Calener-2012/12/07のエントリです。
*3)Red Hat OpenStack
RHEL6で利用できる評価版サブスクリプションの入手方法が案内されています。Fedoraで利用できるものは、Fedora17以降に標準で同梱されています。
++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
CTC教育サービス Linuxのページ
http://www.school.ctc-g.co.jp/linux/
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