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今年の日本の夏は、分散ファイルシステム「GlusterFS」の話題で盛り上がっています。7月には「Linux女子部」、そして8月には「hbstudy」の主催による有志での勉強会が開催されましたが、どちらも100名近くの参加者があつまるという盛況ぶりでした。
hbstudyの勉強会では、Twitterで日本人がやたらとGlusterFSについてつぶやいていることに気づいたJohn Mark氏(旧Gluster社のメンバで、現在は、米Red Hat社にて「GlusterFS Community Manager」に就任)が「日本で何がおきているんだ?」と私に驚きのメッセージを送ってきたほどです。世界からも注目を集めるユーザコミュニティが日本で広がると面白いですね。
それでは、今回は、GlusterFSのアーキテクチャの基礎を解説します。
GlusterFSの構成概要は、図1のようになります。複数のGlusterFSサーバ(ノード)からなる「GlusteFSクラスタ」を構成した後に、各ノードのローカルディスクを論理的に結合した「仮想ボリューム」を作成してクライアントに提供します。
図1 GlusterFSの構成概要
このボリュームをクライアントからマウントすると、クライアントからは1つのファイルシステムとして認識されます。ここにファイルを保存していくと、実際には、それぞれのファイルは、各ノードのローカルディスクに分散保存されます。
この際、1つのファイルのコピーを複数のノードに保存する「レプリケーション構成」が可能です。これにより、1つのノードが障害で停止してもクライアン トは、その影響を受けずにファイルシステムの利用を継続することができます。また、1つのファイルを一定サイズの「チャンク」に分割して、チャンクごとに 異なるノードに保存する「ストライピング構成」、さらにはストライピングとレプリケーションを組合わた構成をとることもできます。
1つの巨大なファイルを複数のクライアントが同時にアクセスするような場合は、ストライピング構成によりアクセス性能を向上することが可能です。逆に、 普通のファイルサーバのように、多数のクライアントがそれぞれ異なるファイルにアクセスする場合は、特にストライピング構成をとる必要はありません。この ように、目的に応じて自由に構成を選べる点も特定のハードウェアに依存しないソフトウェアソリューションのよい所です。
図1のクライアントマシンは、実際にファイルを保存するサーバの場所をどのようにして決定するのでしょうか? 例えば、Hadoop専用の分散ファイル システムであるHDFSでは、それぞれのデータの保存場所を管理するために、専用の「メタデータサーバ」(HDFSでは「ネームノード」と呼びます)を持 ちます。HDFSを利用するクライアントは、一度、メタデータサーバでデータの保存場所を確認してから、実際にそのデータを持つサーバにアクセスに行きま す。
一方、GlusterFSには、このようなメタデータサーバがありません。各ファイルの保存先は、ファイル名のハッシュ値によって決定される仕組みに なっています。クライアントは、各サーバについて、それぞれが担当するハッシュ値の範囲を事前に問い合わせて、メモリ上にキャッシュします。その後は、ク ライアント自身がファイル名のハッシュ値からそのファイルを保存するべきサーバを決定して、該当のサーバにアクセスを行います(*1)。
GlusterFSの話題は、次回でいよいよ最後となります。次回は、少し高度なトピックとして、「トランスレータ・モジュール」を説明します。前回触れた、GlusterFSの機能拡張の仕組みの根幹となる部分です。
*1)10年効く分散ファイルシステム技術GlusterFS&Red Hat Storage
ハッシュ計算の仕組みを含めた、GlusterFSのアーキテクチャのより詳しい解説が掲載されています。
++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
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