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この連載コラムでは「クラウド時代のオープンソース実践活用」と題して、クラウドに関連するオープンソース・ソフトウェアの技術トピックを取り上げます。今回からは、数回に分けて、分散ファイルシステム「GlusterFS」を紹介します。GlusterFSの特徴や背後の仕組みなどを中心に説明していきましょう。
GlusterFSは、インドのバンガロールで起業したスタートアップ企業Gluster Inc.によって開発が始められました。創業メンバーは、HiteshとAnand Babu(通称AB)の2人です。筆者は、先日(2012年6月)横浜で開催されたLinuxConに来日していたAB氏と会う機会があり、日本酒を酌み交わしながら、GlusterFSに隠された熱い想いを聞かせてもらいました(*1)。
彼は、もともとは科学技術計算などに利用されるHPC(High Performance Computing)システムに関わる仕事をしていました。HPCシステムでは、数百台~数千台のサーバが連携する「クラスタシステム」を利用しますが、その中で、このようなクラスタシステムをより柔軟に構築・管理する仕組みを独自に作り出したいと考えるようになり、Gluster社を起業したそうです。そして、HPCシステム専用の大容量ストレージ機器の導入費用に頭を悩ませる企業の依頼で、GlusterFSの開発をスタートしました。
彼のソフトウェア哲学によると、「すべてのソフトウェアは拡張可能でなければならない」そうです。ソフトウェアの利用者が独自のアイデアで自由に機能拡張できる仕組みを導入することで、ソフトウェアの発展を促進しようというわけです。多数の開発者が協力して開発を進める、オープンソースの開発モデルにも通じるところがあります。次回以降に説明するように、GlusterFSにもこの考え方が根付いています。
前回紹介したように、GlusterFSはLinux上のソフトウェアとして実装されていますので、Linuxが利用できる所であればどこでも利用が可能です。自社のデータセンタ内で物理サーバを利用して、自社専用の大容量ストレージ環境を構築することもできますし、パブリッククラウドに用意したLinuxの仮想マシンを利用して、クラウド上に大容量ストレージを用意することも可能です。
さらに、クライアントからのアクセス方法が複数用意されているという特徴があります。標準的には、クライアントマシンに「GlusterFSクライアント」のパッケージを導入します。これにより、GlusterFSサーバ群が提供するファイルシステムを、クライアントマシン上に普通のファイルシステムと同様にマウントして利用することができます。また、GlusterFSサーバはNFSサーバとしての機能も提供していますので、クライアントマシンからNFSマウントして利用することも可能です。
その他には、OpenStack Swift互換のREST APIにより、オブジェクトストレージとして利用することもできます。そして、現在のバージョン(GlusterFS3.3)ではまだ実験的な段階ですが、Hadoop APIを利用して、Hadoopのバックエンドストレージとしても利用可能です。
REST APIは、モバイル端末上のアプリケーションからのアクセスにも適していますので、モバイル端末からREST APIで多数のファイルを保存した後に、それらをHadoopでバッチ処理するなどの合わせ技にも有効活用できるかも知れません。
そろそろ実際にGlusterFSの環境を構築してみたくなってきたのではないでしょうか? ステップバイステップのインストール手順が記載された参考資料がありますので、まずはそちらを参考にしてください(*2)。
次回は、いよいよGlusterFSのアーキテクチャについて解説します。
*1)LinkedInのAB氏のページ
2011年のレッドハットによるGluster社買収にともない、現在、AB氏は米Red Hat社のCTOオフィスに勤務しています。
*2)GlusterFS技術情報 - インストール手順
GlusterFS3.3のインストール手順が紹介されています。
++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
CTC教育サービス Linuxのページ
http://www.school.ctc-g.co.jp/linux/
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