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第11回 疎結合の管理力(2) (宮崎悟) 2023年6月

前回は、疎結合の管理力のうち、モジュール性、拡張性、監視、ロギングについて説明しました。今回は、疎結合の管理力のうち、信頼性、耐障害性、自動化について説明します。

疎結合の管理力(2)
信頼性と耐障害性

疎結合アプリケーションは、一部のコンポーネントが故障してもアプリケーション全体が機能し続けるように設計されていることが理想的です。信頼性と耐障害性を向上させることで、アプリケーションの管理性が向上します。

疎結合アプリケーションでは、各コンポーネントが独立して動作します。したがって、一部のコンポーネントが故障しても、その影響はその部分に限定され、アプリケーション全体への影響を最小化できます。また、機能を果たす複数のコンポーネントを持つことができるため、一部のコンポーネントに障害が発生しても、別の同一コンポーネントが動作し続けるため、アプリケーションのダウンタイムを小さくできます。

疎結合アプリケーションでは、個々のコンポーネントを独立に更新や修正可能です。このため、既知の問題を修正する際に、アプリケーション全体を停止させることなく、特定の部分だけを修正する柔軟性を持ちます。またアプリケーションの負荷が増加・縮小した場合に、同時に動作するコンポーネント数を増減することで、処理量を拡大・縮小できます。この柔軟性とスケーラビリティにより、システムのパフォーマンスと信頼性を維持することができます。

疎結合の特性により、システムの各コンポーネントを個別にテスト、修正、アップデートすることが可能です。そのため、問題が発生した場合でも迅速に対応し、システムの信頼性を維持することが容易になります。

自動化

管理性を向上させるために、アプリケーションのデプロイメント、監視、アップデートなどのプロセスを自動化することが重要です。自動化により、効率的な運用が可能になり、人間のミスを減らすことができます。

継続的インテグレーション(Continuous Integration)と継続的デリバリー/デプロイメント(Continuous Delivery/Deployment)は、CI/CDとしてよく知られます。CI/CDは、コードが変更されコミットされた際に、ビルド/テスト/デプロイを行う手法で、クラウドネイティブでの重要なサイクルです。 CI/CDは、アプリケーション更新時に必要で時間がかかるテストを自動的に行うことで、問題発生時からアプリケーションリリースまでの速度を向上させます。

クラウドネイティブでは、インフラストラクチャの構築もコード化され(Infrastracture as Code)、アプリケーション環境の作成、維持、削除などを自動的に行えます。そのため、サービスを別環境で構築することが容易く、開発環境や検証環境を本番環境と同じように作成できます。

終わりに

今回は、疎結合の管理力のうち、信頼性、耐障害性、自動化について説明しました。疎結合によるモジュールの繋がりにより、耐障害性やスケーラビリティが上がります。また、モジュール化によるコンパクト化と、CI/CDやIaCによる自動化により、開発やリリースのスピードが大幅に上がります。

ここまでの連載で、クラウドネイティブで疎結合を使う意義がはっきりしたでしょう。

この連載は、今回で終了になります。クラウドネイティブは今後のITサービスを牽引する重要な概念となります。この連載が、クラウドネイティブを求める方々の助けになれば幸いです。今まで、この連載をご覧いただき、ありがとうございました。

 


 

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