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とあるベテランエンジニアの方と雑談しているときに、こんな話を聞きました。
「濱田さん、私はね、面接のときに"尊敬するエンジニアはいますか?"と聞くようにしているのですよ」
これを聞いて「なるほど」と思いました。感のよい方はお気づきかと思いますが、尊敬するエンジニアを見つけることで、エンジニアとしての伸びに違いが出てきます。
もし「あなたは尊敬するエンジニアがいますか?」と聞かれてうまく答えられなくても、すぐに落ち込むことはありません。書籍の著者やWEB記事に登場するエンジニアで、「この人のようになりたい」と思った人がいたら、徹底的に調査すればよいのです。
こうしたエンジニアの方は大抵
などを積極的に公開しています。また、メディアや自社サイトなどでインタビューに応じていることもありますので、このような対話型の問答があれば、なお一層「この人はどんな課題感を持っていてどういう考えで解決しようとしたのか」という経緯を知ることができます。
こうしたエンジニアは非常に希少性が高く、昔はなかなかお目にかかることができませんでしたが、ソーシャルメディアの発達と勉強会開催のハードル低下のおかげで、いわゆる「会いに行けるスターエンジニア」が増えてきました。
一方、あなたの周囲に尊敬するエンジニアがいたら、それは物凄く幸せなことです。その人の一挙手一投足を観察することで、エンジニアとしての素養が磨かれるのですから、言い換えればこれはお金に代えられない福利厚生です。
なぜなら「自分が認知している課題を共有している(というよりも、自分以上にその課題について多くの知見を持ち短いパスで解決できる)」ため、検索や独学では得られない生身の教材を教えてくれる、いわば「教科書をきちんと教えてくれる先生」のような存在ですし、1日の大半を一緒に過ごすのですから、質量ともにこの上ないほどの学びを得ることができるのです。
さて、あなたは身近にあるいはインターネットの向こう側に尊敬できるエンジニアを見つけました。これは非常に貴重な、希少性の高いイベントだと思ってよいでしょう。
冒頭の「尊敬するエンジニアはいますか?」という質問の意味を考えてみましょう。ここで「はい、います。」や「いいえ、いません。」という回答をしてしまうと非常に勿体無いです。面接者はこの質問で次のことを推し量ろうとしていると私は勝手に考えました。
パッと思いつく限りこのようなところでしょうか。3つめの回答次第では「尊敬できるエンジニアがいるのに転職したい、ということはよほど汲んであげなきゃいけない事情があるのだろうな」と思ってもらえるかも知れませんが、ここでは本題から逸れるので深掘りしません。しかし、こうした受け答え1つでも、多くの想像力を働かせることができるので、転職を考えている方は想定問答の1つとして考えておくとよいでしょう。
先ほど、尊敬できるエンジニアがいるということは希少性の高いイベントであると申し上げました。日本にはおよそ80万人から100万人のITエンジニアがいるそうですが、では彼らが皆GitHubにコードを公開し、Twitterなどのソーシャルメディアで発言しているかといえば、そうではありません。ちゃんと統計をとったわけではないのですが、恐らく多めに見積もってもこうしたエンジニアが日本に1万人いるかどうか、ではないでしょうか。
彼らと同じポジション、つまり100万人のランキングのうち1位になる(というか、なろうと思ってなるのではなく、彼らと同じように評価されると言ったほうがよりリアルですね)ことは非常に難易度が高いですが、100万人のランキングの中で上位10万人の中に入るという目標であれば、案外手の届かない話ではありません。
いわゆるランキングを"目的"にするのは好きではないのですが、わかりやすい"目標"とする分には非常に有用です。「これができれば10万人の中に入るだろう」という明確な線引きがあるわけではないですが、自身の希少性、市場価値を高めるモチベーションとしては持っておいて損のない評価基準ではないでしょうか。
「そうは言ってもランキングの基準がよくわからない」という声が聞こえてくるようですが、「自分はここまで出来るようになった」「自分が尊敬するエンジニアにここまで追いついた」という観点で彼らと比較することで、ご自身の希少性が上がったと言えるようになるはずです。
転職するにしても、自社の評価面談に臨むにしても、アウトプットは必要です。エンジニアだからアウトプットが苦手、という考えの人はまだまだ多いですが、何もキラキラした飾り付けが必要なのではなく、
これができるだけで、かなり評価がよくなります。しかも、大抵においてはアウトプットの質を上げるために自身のメインスキルを磨く時間を削ってまで頑張る必要はありません。
そして最後の「相手の察しに依存しない」、これが実は一番大事なことだと思っています。およそ"自身が正当に評価されていない"と感じる人のほとんどが、「私はこんなにやっているのにわかってくれない」「あいつが先に出世したのはアピール(媚び)が上手だからだ」と思っています。それなのに、いつまでも上司から察してもらって引き上げてもらうかそれが叶わないなら転職しようと思っているのです。
こんなことを書いている私もかつてそう思っていた時期もありましたが、「相手に変わってもらう」ことを期待するのではなく、自発的に変わったほうが、ポジティブでコストパフォーマンスが高いと思いませんか?そして、アウトプットの準備をする過程で、ご自身の人生の選択肢が増えることにもなるのです。
さて、こうして希少性の高いエンジニアに向けて第一歩を踏み出すことができました。しかし、"希少性"はあくまで結果論であって、"希少性"を目的にして目標を見誤ってしまうと、希少性と市場価値がうまくリンクしなくなってしまいます。まずエンジニアとして"再現性"を担保できることが肝要であると考えますが、そろそろスペースが足りなくなってしまいましたので、エンジニアの"再現性"については次回取り上げてみたいと思います。
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