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XenDesktopには仮想デスクトップの大規模展開を行うための仕組みとしてMachine Creation Services(MCS)を使う方法と、OSおよびアプリケーションをテンプレート化した標準イメージをネットワークブートするProvisioning Server(PVS)を使う方法があります。PVSのほうが環境構築の難易度が高いですが、MCSによる仮想デスクトップ展開と比べてストレージの大幅な消費を抑えることが出来るため、大規模な展開に優れています。
今回は小、中規模の仮想デスクトップの展開に最適な、特別なサーバーの構築を必要とせずに利用可能なMCSを使った仮想デスクトップ展開について解説します。
MCSによる仮想デスクトップ展開の仕組みは、展開する仮想デスクトップ環境をマスターイメージとして、イメージを多数展開するという方式です。マスターイメージからクローンされたVMイメージにはIDディスクと差分ディスクが付加されます。マスターイメージからクローンされたイメージ+IDディスク+差分ディスクの3つで構成されます。
構成される3つのディスクのうち、IDディスクは第一回で触れたように仮想マシン固有の情報(コンピューター名やSIDなど)が保管されています。これにより、同じイメージからクローンされたゲストOSが別のシステムと認識されるというわけです。単純にハイパーバイザーの機能を使ってクローンしただけの仮想マシンを同時に起動すると、IPアドレスやSIDの重複などにより問題が発生してしまいますが、MCSを使えばこういう心配をすることなく仮想デスクトップ環境を展開することができます。
OSイメージが保管された領域に一時保管されたデータは、OSの再起動によって通常はリセットされます。しかし、Personal vDiskが利用できる仮想デスクトップはプロファイルをこの領域に保管するため、再起動を行っても保存したデータや個人設定などが消失することはありません。ホームディレクトリ配下であればドキュメントの保存なども可能です。
図8 Personal vDiskありのイメージの展開
MCSによる仮想デスクトップの展開を行うには、まず展開するマスターイメージを用意します。今回はWindows 7 SP1を仮想デスクトップとして利用するため、Windows 7 SP1をインストール済みの仮想マシンを用意してください。必要に応じてその他ソフトウェアをインストールします。マスターイメージはActive Directoryにひも付けされたコンピュータアカウントを元にマスターイメージである仮想マシンを識別するため、予めActive Directoryの参加をしておく必要があります。
MCSによって展開するマスターイメージもVDAをインストールする必要があります。以下の手順に従ってソフトウェアのインストールを行ってください。
仮想デスクトップとするWindows仮想マシンでXenDesktop7のインストールイメージ(ISOファイル)をマウントして読み込んでください。
ダブルクリックするとインストーラが起動しますので、「開始」ボタンをクリックします。
メニューの中から「Virtual Delivery Agent for Windows Desktop OS」をクリックします。
VDAの導入ウィザードが表示されます。「マスターイメージを作成する」を選んで「次へ」ボタンをクリックします。
「HDX 3D Pro」は「いいえ、標準のVDAをインストールする」を選び、「次へ」ボタンをクリックします。
「コアコンポーネント」はデフォルトのまま「次へ」ボタンをクリックします。
「Delivery Controller」は「手動で指定する」を選び、Delivery ControllerのアドレスをFQDN(本例ではscvmm.vdi.example.com)で入力してください。入力後「接続テスト」を実施してエラーが出ないことを確認します。
正しいDelivery Controllerのアドレスを入力できたら「追加」ボタンをクリックし、「次へ」ボタンをクリックします。
「機能」はすべてを選択して「次へ」ボタンをクリックします。
「ファイアウォール」はデフォルトのまま、「次へ」ボタンをクリックします。
最後に「概要」でこれまでの設定を確認して問題なければ「インストール」をクリックします。VDAのインストールが始まります。VDAのインストール後、一旦再起動します。
XenDesktopで用意した仮想デスクトップを利用するには、まず仮想デスクトップの種類を「マシンカタログ」で定義する必要があります。次の手順に従ってマシンカタログを作成します。
Citrix Studioのメニューからマシンカタログを選び、「右クリック→マシンカタログを作成」を実行します。
「マシンカタログの作成」ウィザードが表示されます。「次へ」ボタンをクリックします。
「オペレーティングシステムハードウェア」は「Windowsデスクトップオペレーティングシステム」を選択して「次へ」ボタンをクリックします。
インフフラクチャは「仮想マシン」、管理するサービスは「Machine Creation Services」を選択して「次へ」ボタンをクリックします。
「デスクトップエクスペリエンス」は「静的」、デスクトップ変更の保持は「はい、別のPersonal vDisk上に変更を保存する」を選んで「次へ」ボタンをクリックします。
「マスターイメージ」の選択は展開するために作りこんだ仮想マシンを選択して「次へ」ボタンをクリックします(本例ではXD7MCS)。
「仮想マシン」は展開する仮想マシンのハードウェア構成を設定します。展開する仮想マシン数と仮想マシンに割り当てるvCPU、メモリー、Personal vDiskの容量とドライブ文字列を決定します。構成後、「次へ」ボタンをクリックします。
「Active Directoryコンピュータアカウント」では「コンピュータアカウントを作成する」、アカウントの作成場所は作成したOU(本例ではXenDesktop7)を選択します。
「アカウント名前付けスキーム」は前の手順で指定した数の仮想マシンをアカウント名前付けスキームのルールを元にして展開します。この名前が仮想マシンのコンピューター名になります。
「概要」でこれまでの設定を確認して問題なければ、マシンカタログ名と説明を入力して「完了」をクリックします。マシンカタログが作られます。
マシンカタログの作成が終わったら、次にどのユーサーにどういった仮想デスクトップ、もしくはアプリケーションを割り当てるか構成するために「デリバリーグループ」を定義する必要があります。次の手順に従ってデリバリーグループを作成します。
Citrix Studioのメニューからデリバリーグループを選び、「右クリック→デリバリーグループを作成」を実行します。
「デリバリーグループの作成」ウィザードが表示されます。「次へ」ボタンをクリックします。
「マシン」で割り当てるマシンカタログとして「Windows7-MCS」を選び、仮想デスクトップとして利用する仮想マシン数を入力します。設定が終わったら「次へ」ボタンをクリックします。
「配信の種類」は「デスクトップ」を選択して「次へ」ボタンをクリックします。
「ユーザー」でこのマシンカタログを利用許可するユーザーもしくはユーザーグループを指定します。本例ではxduser1-xduser10が登録されたXenDesktop7というグループを指定します。ユーザー追加が終わったら「次へ」ボタンをクリックします。
「StoreFront」はすでに設定済みのものを選択して「次へ」ボタンをクリックします。
「概要」ではデリバリーグループ名、表示名、デリバリーグループの説明を入力したあと、「完了」ボタンをクリックします。デリバリーグループが作られます。
早速ブラウザでアクセスしてみましょう。本例ではInternet Explorerを利用していますが、アクセスはお好みのブラウザで構いません。
ブラウザでStoreWebにアクセスします。アドレスは、「Reciever for Web」を開くと確認できます。デフォルトの構成は以下の様なアドレスになります。
フルコンピューター名scvmm.vdi.example.comのサーバー上でCitrix StoreFrontを実行している場合
アクセスするURLアドレス
http://scvmm.vdi.example.com/Citrix/StoreWeb
ユーザーとパスワードを入力して、「ログオン」ボタンをクリックします。
仮想マシンが割り当てられているユーザーでアクセスすると、仮想デスクトップがログイン後の画面に表示されます。
「Windows7-MCSDesktop」を選択してみましょう。仮想デスクトップにログインできるはずです。Personal vDiskを有効にした仮想デスクトップではプロファイルがPersonal vDisk上に配置され、マイドキュメント上にコンテンツの保存も可能になります。
MCSによる仮想デスクトップの展開方法は以上です。
XenDesktop 7のセットアップは、今までよりも格段に簡単、シンプルになったことをご理解いただけたかと思います。読者の皆さんも新しくリリースされたばかりのXenDesktop 7を実際にダウンロードしてお試しください。
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