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第6回 CloudStackによるクラウド構築を自宅で試す (島崎聡史) 2013年2月

自宅ラボで腕を磨きませんか?

 ここ数年、仮想化やクラウドが広がるにつれて、エンジニアに求められるスキルの幅が広がっているように感じます。たとえば、サーバー仮想化にかかわるエンジニアであればハイパーバイザーや管理ツールだけではなく、OS、ストレージ、ネットワークなどの周辺スキルも必要です。

 最近ではApache CloudStack(以降CloudStack)やOpenStack、Eucalyptusなどオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアが雑誌やWebメディアで多く取り上げられたり、ユーザー会が活発に開催されたりするなど、盛り上がりを見せています。これらのクラウド基盤ソフトウェアは、IaaS(Infrastructure as a Service)型のクラウドを構築するためのものですが、これらを理解するにも前提として、サーバー仮想化に対する理解が欠かせません。

 どんどん出てくる新しい技術や製品をエンジニアがキャッチアップしていくのは大変ですが、個人的にお勧めしたいのは自宅ラボでの自主トレです。自宅ラボとはいってもサーバーラックを置くような大がかりなものではなく、最近は1~2万円程度で購入できる低価格なサーバーマシンもありますし、メモリも大容量のものが安価に手に入るようになりましたので、そういったものを活用すれば、お小遣い程度の投資でスキルを磨くことができます。

Apache CloudStackとCitrix CloudPlatform

 クラウド基盤ソフトウェアのうち、Apache CloudStackはCloud.comという会社が開発していたもので、2011年夏にCitrixが買収し、2012年春にApache Software Foundation(ASF)に寄贈しました。現在、CitrixはApache CloudStackのコントリビューターであると同時に、商用ディストリビューションであるCitrix CloudPlatform powered by Apache CloudStack(以降CloudPlatform)を開発・提供しています。

 CloudStack/CloudPlatformはXenServer/vSphere/KVMなどのマルチハイパーバイザー環境をベースに、使いやすいGUIの管理画面やテナント(=利用者)ごとのネットワークの隔離、ロードバランスやファイアウォール、VPN機能などを備えたクラウドを構築できます。

 現在のところ、両者の機能やUIは概ね似ていますが、CloudStackでは完全にコミュニティ主導で機能を取り込んでいる一方、CloudPlatformでは商用ユーザーから要望の多い機能の取り込みや安定性を優先し、サポートやXenServerのバンドル提供をしているなどの違いがあります。

CloudStackの管理UI

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Apache CloudStackは気軽に試せる

 CloudPlatformを基盤としたクラウドは日本国内でもIDCフロンティア、NTTコミュニケーションズ、KDDI、北海道大学などをはじめ、多くの採用実績がありますが、それらと同じようなクラウド環境をCloudStackで自宅に構築できます。CloudStack自体の入手方法については、公式サイトの[Downloads]の項目から確認できます。

 CloudStackは管理サーバーの構築にLinuxを使用しますが、CentOSとUbuntuに対応(CloudPlatformはRed Hat Enterprise Linuxをサポート)しているので、使い慣れたものを選択できます。

 クラウド環境における仮想マシン(インスタンス)の展開先となるハイパーバイザーについては、XenServerの無償版かKVMを使用すれば、無料で構築できるため自宅ラボにはうってつけです。XenServerは下記のサイトからダウンロードできます。

  • Citrix 製品ダウンロードページ
    http://www.citrix.com/downloads.html
    ※XenServerのダウンロードにはサイトへのユーザー登録、ログインが必要です。
    ※Apache CloudStack 4.0で対応するXenServerのバージョンは6.0.2までです。XenServer6.1へは今後のバージョンでの対応となりますので、XenServerをダウンロードする場合はバージョンに注意してください。
試すときに確認しておきたい情報

 CloudStackを試す場合、まったく初めての場合にはどのように準備を進めればいいのかわからない場合もあると思います。そうした場合は、下記の情報を参考にしてみてはいかがでしょうか。

  • 日本CloudStackユーザー会
    http://cloudstack.jp/
    日本語でのCloudStackに関する情報発信、情報共有を行っています。1~2か月に1回ほどのペースで勉強会を開催しており、毎回100名以上が参加しています。メーリングリストもありますので、躓いた時には質問してみても良いでしょう。
  • CloudStack徹底入門(書籍)
    http://books.shoeisha.co.jp/book/b104826.html
    日本語によるCloudStackの解説書です。日本CloudStackユーザー会のメンバーが執筆に携わっていて、私自身も参加しました。
    CloudStack徹底入門
  • Citrix CloudPlatformドキュメント
    https://support.citrix.com/product/cs/v3.0/
    CloudPlatformのドキュメントです。CloudStackにも応用が利く情報が多いので、参考になります。一部のドキュメントは日本語化も行われています。
まとめ

 今回は自宅で試せるApache CloudStackをご紹介しました。雑誌やWeb、勉強会など様々な情報があふれている今日ではありますが、自分の手を動かして得た経験や知識は座学以上の価値があると思います。

 Citrix製品には他にも自宅ラボで気軽に試せるものがありますので、次回以降も引き続きご紹介していきます。

 


 

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デスクトップ仮想化ニュース
http://www.desktop2cloud.jp/

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クラウド&ネットワーク情報サイト
http://www.cloudandnetwork.jp/

「クラウド&ネットワーク情報サイト」は、クラウドコンピューティングやネットワークに関するさまざまな情報をデータや動画を活用した分かりやすい解説でお届けします。

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